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「ウクライナでは、スーパーやカフェも開いている」日本の立場はどうすべき?

―[今週の顔]―

ロシアが流す偽情報を信じれば台湾有事に際して日本は孤立する

ウクライナ

ウクライナの軍事演習。米政府はロシアが侵攻の口実にするため、ウクライナ軍から偽の攻撃を受けたとするプロパガンダ映像を作成していると警告。一触即発の状態が続く 写真/AFP=時事

「いつ侵攻が始まってもおかしくない」。米政府のサリバン大統領補佐官は、2月11日、ウクライナに滞在する米国人に48時間以内に退避するよう呼びかけた。平和の祭典が終わるまで、ロシアは中国の顔を立てて侵攻しないとの見方が大半だったが……事態は風雲急を告げるのか。ウクライナの国営通信社に所属する平野高志氏は、危機が迫る現地の様子をこう語る。 「不思議に思うかもしれないが、スーパーやカフェも開いており、いつもと変わらずに落ち着いている。それは’14年に侵攻され、クリミアと東部ドンバス地方を占領された際に、パニックに陥った苦い経験があるからです。  また継続的に東部では武装集団との戦闘が繰り広げられ、日々死傷者のニュースが流れているので、’14年から戦争状態が続いているともいえます」  ロシアの大義名分は、ウクライナ東部に住むロシア系住民の保護だ。 「ウクライナの西部は親ヨーロッパ、東部は親ロシアという『ウクライナ東西分裂論』はロシアが侵攻の口実に流しているプロパガンダにすぎない。確かに、東部の一部はロシア語が盛んに使われるが、ロシア語が使えるからといって、占領を望んでいるわけではないし、そもそも大半のウクライナ人はバイリンガル。  さらにロシアは紛争地帯にパスポートをばらまいて、“自国民”をつくり出し、その保護を名目に武力行使を強めようとしている。しかし、日本の専門家の中には偽情報をそのまま流してしまっている人もいる」

台湾有事や尖閣問題にも波及

 ウクライナ危機は、台湾有事や尖閣問題にも波及するという。 「ドイツは多大な不利益を被るのを覚悟でガスパイプライン計画を経済制裁に加えるとの見方が濃厚だ。それなのに、もし日本が偽情報をもとに中立の立場をとれば、中国による台湾や尖閣で類似の問題が発生したとき、欧米は助けてくれないでしょう」  Xデーは15日とも、五輪閉会式の20日とも言われているが、衝突が回避されることを祈るしかない。 =====
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’14年のロシアの侵攻でウクライナはNATO加盟を急ぐ
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