お金

クロネコヤマトが空を飛ぶ?「JALvsANA」は新たな局面に

ヤマトが抱える「2024年問題」

クロネコヤマトの物流センター 今回の連携で10トン・トラック5~6台分の荷物を一括で運べるようになり、ドライバーの負荷を軽減することができます。また、地震や、水害によって、陸路が遮断されるということも多い日本。空の便の方が、陸路よりも、災害に強いというメリットもあります。  そして、ヤマトにとって「2024年問題」対策という側面もあります。2024年4月から、自動車運転業務の年間残業時間は「上限960時間」が義務化となります。このため長距離トラックのドライバー不足が深刻化することが考えられます。  悲願の貨物専用機を、自前で持つこととで、トラック輸送企業から貨物専用機を保有する「総合物流ソリューション企業」へと変化を遂げるためのステップという戦略的意味合いも大きいでしょう。  そして、世界に目を向ければ、物流業界では大型貨物専用機を100機以上保有する宅配業者が存在します。自前で保有することが、むしろ当たり前なのです。さらに、Amazonの台頭です。  Amazonは自前の物流サービスを保有している点が強みですが、コロナでさらに物流サービスを強化させています。Amazonも、Amazonの段ボールだけを輸送する専門の貨物専用機会社「アマゾン・エア」を発足させています。Amazonの存在は、物流業者にとっては、やはり脅威です。  自前で航空機を保有することは、むしろ、必然な流れなのです。かわいいだけではない、戦いがここにあります。

かつて、貨物専用機を持っていたJAL

 クロネコヤマトの空の便の運航を担当するJAL。  JALは2010年の経営破綻後、自社貨物機を手放しており、久々に貨物専用機を運航することになります。JALはこれまで、収入の変動が大きい貨物専用機を自社で導入することには消極的でしたが、運航受託という形を取ることでの参入は、慎重な姿勢だと言えます。  コロナ禍以降、航空会社を支えたのは「貨物需要」。つまり、旅客需要が蒸発したことで収入が大幅に減少したJALもANAも「貨物需要」に支えられた側面があります。
次のページ
ANAとJALを比較すると…
1
2
3
おすすめ記事