稲垣理一郎、Boichi 著(集英社) 『Dr.STONE』を一言で言い表すならば、「科学の力ってすごい」を思い知らされるマンガです。 　すべての人類は、ある日突然、謎の石化光線によって石になってしまいます。そして、それから数千年後、主人公らは目覚め、人類文明の復興と、「なぜ人は石化したのか？」を解き明かすための壮大な旅へと歩み出します。 　人類文明の復興といっても、今の時代から数千年もたってしまっては、地球上におよそ文明といえるものは残っていません。コンピューターはもちろん、ビルのような丈夫で大型の建造物ですら、経年劣化による風化が起きているような世界です。 　あるのは、見渡す限りの山、森、岩……。つまり、現代人である主人公たちは土くれと木が支配する「ストーンワールド」に放り出されてしまったのです。しかし、科学の天才である主人公・石神千空は、持ち前の知識をフルに活用して、あっという間に「現代文明」を作り出していきます。 　石と木しかない世界から、車や携帯電話などさまざまな機械を作り出していく手際を見ていると、まるで魔法のようだと感じてしまいそうになります。 　このマンガの一番の肝にして、面白いところは「科学は100%再現性がある」というところからブレないことでしょう。 　これは誰がやっても条件さえ同じなら絶対に同じ答えが出るということを意味します。つまり、もしも材料をそろえることができて、実験手順も再現できたなら、僕らも手元で工作できるということなんです。 　科学館なんかでは感じられない「身近な科学」を見つけられる良書です。