更新日:2022年12月19日 15:02
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次世代遊技機「スマートパチンコ」の導入でパチンコ業界に広がる混乱

最大のネックは、高額な導入費用

 遊技機規則等の改正により、旧規則機である5号機が一部地域を除いて一斉撤去になったあと、6号機だけで構成されるパチスロ市場は売上、客数とも日に日に減退している。そのカンフル剤的な役割として、特にスマートスロットの導入を期待するパチンコホールは少なくない。  一方、次世代遊技機の導入消極派の懸念は、何よりもその設備投資費である。  次世代遊技機は、遊技機とユニットのセット販売となっており、通常の遊技機よりも初期導入費用がかさむ。またスマートパチンコが遊技球を、遊技機内で循環させるため、現行の島設備の改築等も求められる。  旧規則機の入れ替えで大枚を叩いたパチンコホールにとって、1年も経たない内の大規模な設備投資は、まさに泣きっ面に蜂だ。

次世代遊技機が、ホール間の格差を生む

 関東某県のホール経営者に話を聞いた。 「結局、スマートパチンコやスマートスロットの導入に積極的なのは大手ホール企業だけ。我々のような中小零細ホールには導入する資金が無い。仮に次世代遊技機に限り出玉性能が緩和されれば、お客様はそっちに流れ、導入出来なかったホールは今以上にお客様を失ってしまう」  コロナ禍の2年間で、全国のパチンコホールは、1000店以上も閉店・休業に追いやられた。計画上は今度の年末年始に計画されている次世代遊技機の導入を機に、更に大手と中小零細のパチンコホール間の格差が広がり、一層の淘汰が進みかねない。  前出の経営者は、このように語る。 「それでも今は、パチンコは一定のファンを獲得し、コロナ前の売上を戻している。パチスロも度重なる内規変更等により様々な規制が緩和され、今後発売されるものには一定の期待感はある。無理に次世代遊技機にこだわる必要はない」  最大1万8000店舗あったパチンコホールは、今や8000店舗強にまで減少した。半分以上のホールが消えた業界にとって、このスマートパチンコ、スマートスロットは、反転攻勢の起爆剤になるのか、それとも風前の灯火に過ぎないのか。 <文・安達夕(@yuu_adachi)>
フリーライター twitter:@yuu_adachi
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