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東大生が感動した「元ネタを知ると、より楽しめる傑作マンガ」ベスト3

○『大奥』

よしながふみ著(白泉社)
『大奥』

『大奥』

 大奥といえば、江戸時代の幕府に存在した、女中らの居所のことを指します。史実にある大奥は女性たちが住んでおり、時折将軍がやってきては気に入った女性に手を付けて帰っていく場所というイメージかもしれませんが、この作品の大奥は一味違います。  なんと本作品で登場する大奥は男女が逆転しているのです。つまり、将軍は女性が務めており、大奥には数々のイケメン男子たちが集められているのでした。  とはいえ、別にすべてがフィクションというわけではありません。この『大奥』の世界においては、3代将軍徳川家光の治世が始まる、おおよそ1630年くらいまでは、現実世界と同じような歴史をたどってきているようなんです。

江戸時代の出来事が違った見え方に

 しかし、家光の時代に異変が起こります。赤面疱瘡と呼ばれる病気がはやったのです。この病気は若い男性のみが発症し、かかるとあっという間に衰弱、全身に赤いぶつぶつが出きて死んでいくという恐ろしいものでした。  この病気のせいで、江戸に限らず日本全土の男子の人口が激減。従来の2割程度にまで落ち込んでしまいました。いつしか男は子をなすための大事な資源として家の奥で大切に育てられるようになり、外へ出られなくなった男の代わりに、世の中はすべて女性が仕切りまわすようになったのです。 「男女逆転版」ともいえるこの『大奥』の面白いところは、「男女の立場が百パーセント逆転する」という大事件がありながらも、実際に起きた事件や政変などはしっかりと描写されているというところにあります。  このストーリー全体を最後まで読めば「それもそうか」とわかるのですが、新たな見方が提供されることで、江戸時代のさまざまな事件がさらに面白く見えてきます。歴史モノに興味がある方なら、手を出して損はありません!
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「幼女」なのに実は本格派ミリタリー作品
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