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ウクライナ反戦活動に参加する日本人支援者を直撃。その真意とは

「もう母国には帰れないかもしれない」

 デモにはロシア人参加者もいるが、彼らもロシア政府当局から監視されるリスクを負っている。「もう母国には帰れないかもしれない」。そういった恐怖を抱え、同国人から直接誹りを受けることがあっても、感情的になることなくウクライナの友人たちを思いやり、支えあっているのだという。

くにえさん製作のアクセサリー。チャリティへの出品で資金を募る

鈴木さん:戦争が始まったことはニュースで知っていましたが、デモに参加するまでは自分事に思えませんでした。でも長年ダンスを教えていただいている先生が精神的にまいってしまい、涙を流しているのを見て、何かできないかと思ったんです。 みゆきさん:先生のご両親は今、避難せずにウクライナ国内におり、街に留まる子どもたちの世話をして過ごしているそうです。以前日本にいらっしゃったときに私たちも実際にお会いしているので、お顔も浮かんできて……。私も孫がいる年齢ですから、ウクライナの逃げられない、食べられない子どもたちは本当に不憫です。 くにえさん:私は今回のロシアの軍事侵攻は人としておかしいことだと思っています。勝手に人の家に踏み込むような行為だと。なんで?という思いが募ります。

日本に逃れてきた避難民への支援も

 それぞれ義憤や深い同情を胸に抱き活動に臨む3人。SNSを通じて自らの活動を広報することもあるが、周囲の反応はまちまちなのだという。今まで頻繁に「いいね」をしてくれていた友人から反応が薄くなったり、「人それぞれだよね」と話題を逸らされてしまうこともある。 鈴木さん:それでもやる意味のあることだと思っています。この戦争を日本人として見て見ぬふりをして行動を起こさなければ、世界に罪として認識されません。私には子どももいますが、見過ごせばいずれ彼らの将来にも同じことが起きるでしょう。未来を守る責任は一人ひとりにあって、他の国で起きていることであっても行動を起こすことが、子どもたちの未来を守ることなのだと思って活動しています。

鈴木さんらの活動によって集められた支援物資

 現在、日本政府はウクライナから逃げてきた人々数十人を「避難民」として特例的に受け入れている。法的な規定のある「難民」ではないため、様々な制約のある中での来日となることが予想されるが、鈴木さんらは彼らへの支援にも意欲を示す。 鈴木さん:今はまだ直接のコンタクトが取れていないのですが、きっと避難民の方々も、文化や慣習の違う日本での生活にとまどいがあるはずです。今後は今のデモや募金も継続しつつ、彼らに対する生活面での支援ができないか検討しています。  支援の輪は着々と広がっている。鈴木さんら日本人支援グループも、自分たちの勤務先や日々の生活で利用する店舗などで、募金箱を置かせてもらうよう交渉しており、活動に賛同してくれる企業も出てきているという。今後はダンスでのチャリティーイベントも開催予定だ。 鈴木さん:「飛び込み営業」などで無理に支援の輪を広げようとはしていません。あくまで自分たちの生活圏内で、できることを続けていきたいですね。 「日本とウクライナの首都は8193km離れているが、平和を思う気持ちに隔たりはない」——3月23日に行われた日本の国会での演説で、ウクライナのゼレンスキー大統領はこのように語った。だウクライナ情勢は混迷の中にあるが、一般の日本人でも、身近なところから平和のために貢献できることがありそうだ。 ※支援・募金の問い合わせはhelp.Ukraine.from.Japan、又は@nica_latina.dance(インスタグラム)まで。 <取材・文/大河内光明(@komei_okouchi)>
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