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パチンコ業界最大のタブー「釘調整」を巡る警察、メーカー、ホールの思惑

 

曖昧な釘に対する規則

   遊技機規則には、釘について「概ね垂直」という(お役所が作る文章らしい)曖昧な表現しか記されていません。だからこそ釘確認シートという実質的な釘調整のガイドラインが導入されたのは、運用するホール側にとっての利便性は高くなったともいえるでしょう。    それまではどこまで調整できるのか個々の判断次第でしたし、厳しい担当官によってはダメ出しされる可能性もありました。実際、関東某県では張り切って角度を計る器具を持参してくる担当官もいましたから、とりあえず検査を終えるまでは釘を触らず、検査終了から開店までの僅かな時間に店長が頑張って全台の釘を叩くなんていう話も……。  

マックス機を撤去するために持ち出された釘問題

   だが釘確認シートが導入されたのは、ホール側どうこうではなくメーカー側の事情だったりします。発端となったのは2010年代から全盛となった、いわゆるマックスタイプ(※大当り確率約1/400で確変割合は80%、大当り出玉は2000個以上という射幸性が極めて高い機種)。    この射幸性が社会的にも問題となり、行政としてはなんとかしなければならない。でもそのスペックで試験を通してしまった以上、むやみに撤去しろともいえない。でも試験を通す時と実際にホールに納品される時では釘調整が違うという点があり、そこを指摘して不正機というレッテルを貼られることに。そうなれば射幸性が高く問題視されている機種を撤去できると。なかなか行政も頭が良いです。    本来なら型式試験の段階ではじくべきだとは思いますが、これでめでたく釘の不正ということでマックスタイプを完全に撤去させることに成功。そしてメーカー側としても検査時と納品時で異なる釘にできない。もし営業時に本来の性能ではない釘調整をしていたらホール側の責任ですよと明確にするため、釘確認シートを同梱するようになったわけです。
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釘調整不可のパチンコ登場でどうなるのか
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ライターとして25年のキャリアを持つパチンコ大好きライター。攻略誌だけでなく、業界紙や新聞、一般誌など幅広い分野で活躍する。

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