更新日:2023年01月18日 10:41
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ガケっぷち競輪選手が「人生の勝負駆け」に成功。奇跡の1着の裏事情を本人が語る

デビューした静岡で叩き出した46万車券の奇跡

原野隆選手

44歳のベテラン、立川所属の原野隆選手

 そして3月24日のA級チャレンジ戦の初日。注目度の高いレースではなかったが、レース後に競輪ファンの間で大きな反響を呼ぶこととなった。6番車の原野隆選手がまさかの1着となっただけでなく、まるでS級クラスの豪快な走りに度肝を抜かれた人も多かったようで、SNS上で賞賛の声が多く見られた。果たして彼はどのようにして奇跡の快勝を掴み取ったのだろうか。 ――原野選手のデビュー戦は静岡で、その時は完全優勝を成し遂げていますよね。そんな思い入れのある場で3月に高配当を提供しましたが、前検日から手応えはあったのですか? 原野:うーん、あの時はしっかりと練習できたっていう実感があったから、ちょっと良い成績は残したいなとは思ってました。 ――2つのラインを分断させて番手を取り、もう1人の単騎もつぶし、さらに捲ってきた選手を牽制し最後に差す。大暴れでしたね。 原野:単騎だから自由に動けたのもありますね。前検日に珍しく記者の人にいろいろ聞かれて、なんかテンションが上がっちゃったですよ。普段は必要最低限のことしか聞かれませんよ、弱いから(笑)。ただ、静岡の記者さんはよく聞きに来てくれるんですよね。「原野さん、なんかやるんでしょ?」って。 ――同じ関東の小林選手もいましたがラインは組まなかったんですね。 原野:小林さんも1人でやりたいタイプだったので。オレのほうが後輩なんだけど自由にやらせてもらえるし、記者にも期待されてるし。んじゃ、なんかやったろうかなって、前検日の時点では思ってましたね。

25年越しのファンが金網越しから火をつけた!

――いざレースが始まる時はどんな気持ちだったんですか? 原野:実はね、デビューして以来、静岡で走るたびに応援してくれるファンがいまして。発走機についた時に「隆、お前は3番手、4番手で黙っているタイプじゃないだろ?」とか、金網越しに声をかけてくれるんですよね。 で、今回もその人が来ていたんですよ。それで、いつも通り「隆、わかってるぞ。今日はお前やるんだろ」って声援をもらって。そしたら、そんなつもりじゃなかったんだけど、「あっ、やっぱオレいかなきゃいけねえのかな」って暗示にかかったみたいになって。それでその気になっちゃたんですよね。 ――ちょっとした催眠術じゃないですか(笑)。でも、それで結果を出せるのはすごいですね。 原野:6、7年前にも静岡で50万車券を出したこともあって。その時もそのファンの人がいて声援をもらいました。顔を確認しているわけではないけど、声からしておそらく同じ人だと思います。 ――まさにファンの声が力になってるってことですね。 原野:以前、そのファンが京王閣にも来たことがあってね。その日は誘導で行ったんですよ。そしたら「隆、次の斡旋は◯◯だろ! がんばれよー!!」って。ここで誘導の俺にまで声援があるんだって(笑)。まあ嬉しいですよね。
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解説者も大興奮のレース展開!
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パチンコ雑誌『パチンコ必勝ガイド』『パチンコオリジナル実戦術』の元編集者。四半世紀ほど勤めた会社を退社しフリーランスに。現在は主にパチンコや競輪の記事を執筆している。
X(旧Twitter):@sagyosakurai

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