経験・学歴不問の職場のリアル「必要なのは軍手と安全靴、運転免許があるとなお良し」
コロナ禍による不景気の真っ只中、リストラや倒産で路頭に迷う危険は常にある。そんないざというときに、体一つでその日から働ける職場を知っていたら、これほど頼もしいことはない——。
潜入ルポ 経験学歴不問の職場で働いてみた』(鉄人社)の著者である野村竜二氏は、スマホ片手に求人募集を探せる現代に、あえてアナログなスポーツ新聞の三行広告やバイト情報誌、手配師を利用した。そこで見た経験・学歴不問の職場のリアルとは?
――早速ですが、経験・学歴不問の職場で働くようになったきっかけから教えてください。
野村:もともと『裏モノJAPAN』ではフリーライター・和田虫象さんの『きっついお仕事』シリーズなど、危ない仕事やきつい仕事を体験してルポする記事がよくあって。僕が入社した頃はあまりやっていませんでしたが、「ネットやSNSで仕事が探せる時代に、スポーツ紙の求人欄ってどんな感じなのか。働いて調べてこい」という編集長の鶴の一声で始まった感じです。
――仕方ないとはいえ、抵抗感はなかったですか?
野村:すっごい嫌でした。本当に疲れる仕事はしたくなくて。学生時代は先輩に紹介してもらった医療事務のアルバイトをしていましたが、肉体労働は未経験でしたので。
――採用面接で苦労した仕事はなかったですか?
野村:落とされた経験はほぼないです。面接で“受け答え”がある程度できれば大丈夫みたいです。もしも会話のキャッチボールができなくても身体を動かせたらOKみたいな感じで。ただ、ゲイモデルだけはイイ男のルックス的な基準があり、なかなか厳しい世界でしたけど。
――肉体労働が多いので、野村さんの場合は若さや体格も武器になったのでは?
野村:どうですかね。どの現場も働いている人は50歳以上ばかりで、ガタイはわかりませんが、若ければ受かりやすいと思います。やりたいことのない若い人とか、みんなで切磋琢磨するのに疲れ果てているような人なんかは、若いだけでチヤホヤされる職場って案外いいかもしれないと思いました。面接に受かる経験って、単純にうれしいので。
――今は不景気で中年男性がリストラされるケースも少なくないですが、再就職先としておすすめの仕事はありますか。
野村:ビデオボックスです。
――即答ですね(笑)。
野村:僕が働いたのは大手ビデオボックスでしたが、圧倒的におすすめです。面接してくれた人が50歳前後で会社を辞め、一介のバイトとして働き始めて、店長になった後、3〜4年で本部勤務まで進んだという人で。400万、500万って給料をもらっていたようだし、やる気があれば再就職でも働きやすそうでした。ただ、お客さんの使用済みティッシュを片付けたり、衛生面のツラさはありますけど。ゴミ箱に小便や大便をされたりすることもあるので……。
――圧倒的におすすめがそれですか(笑)。男性会社員に馴染みのスポットではあるかもしれないですけど。
野村氏:若い人はピンサロのボーイもいいかもしれないです。ジゴロ的な感じで女性の扱いが上手なら、すぐ店長とかになれる職場が多いらしくて。僕と同年代のスタッフがいて、めちゃめちゃカネ持ってましたからね。平然と「今度クラウン買うわ」なんて言ってました。
――女の子がストレス溜まっていて大変そうなイメージですが……。
野村:弁当を買いに行くのが少し大変でした。「仕事中の唯一の楽しみが弁当」って女の子が多いので、おかずのチキンにタルタルソースがあるとかないとか、わりとどうでもいい注文ミスで怒られちゃいます。
月刊誌『裏モノJAPAN』編集部員として、泥臭い肉体労働から胡散臭い仕事の現場まで体験する企画を約2年間にわたり連載。『
面接で“受け答え”ができれば即採用
中年の再就職におすすめなのはビデオボックス
1988年生まれ道東出身、大学でミニコミ誌や商業誌のライターに。SPA! やサイゾー、キャリコネニュース、マイナビニュース、東洋経済オンラインなどでも執筆中。いろんな識者のお話をうかがったり、イベントにお邪魔したりするのが好き。毎月1日どこかで誰かと何かしら映画を観て飲む集会を開催。X(旧Twitter):@tsuitachiii
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『潜入ルポ 経験学歴不問の職場で働いてみた』 コロナ渦による不況下の中、誰でも失業する危険は常にある。そんな時にいますぐ働ける職場を知っていたら、こんなに心強いことはないからだ。経験学歴不問の職場ではいくら稼げるのか、どれだけきついのか。実際に働きながら調べることで、読者が本当に知りたい“仕事の本質"が見えてきた。 |
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