仕事

経験・学歴不問の職場のリアル「必要なのは軍手と安全靴、運転免許があるとなお良し」

「わりの良い仕事は、ひとつもない」

仕事の様子――単発でわり良く稼げた仕事ってあります? 野村:そういう仕事はひとつもなかったですね(笑)。新聞拡張員は契約を決めれば完全歩合で1万4000円とか懐に入るので、ベテラン訪問販売員なら儲かる気もしますけど。個人的には精神的に一番キツい仕事のひとつでした。副業ならば、京浜工業地帯の倉庫作業なんかはシフト的に働きやすいかもしれません。15時ぐらいまで当日の夜勤で働く人を募集していたりもするんで。 ――なるほど。一番大変だった仕事は? 野村:ガラスや注射針などの廃材・廃品を仕分けする産廃処理業者の仕事は、体力的にしんどかったし、怖かったです。あとは、単純作業過ぎる仕事も頭がパーになるというか。  少しは自分で考える余地のある“攻略性のある仕事”のほうがむしろラクな面もありますね。とくに考えることがなくても、頭の中を真っ白にするのって難しいんですよ。頭の中で、ひたすら同じ歌のフレーズをループしたり、同じことを何度も続けたりしちゃうんですよね。 ――ちなみに、脳内でどんな歌がループしていたんですか? 野村:ミスチルの「HANABI」ですね(笑)

タバコ片手にパチンコトークで盛り上がる休憩タイム

タバコはコミュニケーションツール

タバコはコミュニケーションツール

野村:とくに肉体労働とかはゾーンに入って記憶が飛ぶんで、仕事を始めて何分かの描写は思い出せても、ひたすらシンドイって感想以外、原稿が書けないこともけっこうありました。 ――身の危険や社会の闇を感じた怖い職場はありましたか? 野村:手配師について行って、北関東の寮まで黒塗りの車で連れて行かれたときは怖かったです。ただ、こっちが構えすぎていたのもあります。実際に直接何か危害を加えられた経験はなく、真面目に仕事をしている人が多かったです。 ――寮に住み込みで働いている外国人ともよく交流していましたね。 野村:どの職場もベトナム人ばかりだった気がします。工事現場とかで働いているイメージはありましたが、ビデオボックスでも働いていました。「日本語学校、行ってます」って人が多かったのですが、総じて日本語学校に通っているだけの日本語力ではなかったです。 ――仕事中の楽しみって何かありました? 野村氏:タバコですね。そこでコミュニケーションが生まれやすいこともあって、タバコはよく吸っていました。僕の場合は疲れてメシもあまり喉を通らず、ほぼ詰め込むみたいな感じだったので。  あと、みんなお互いの過去は詮索しない雰囲気で無口なんですが、“パチンコの新台の話”はどこへ行っても盛り上がります。最近ハマっているYouTuberの話なんて一切できないですよ。
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運転免許があれば待遇アップ
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1988年生まれ道東出身、大学でミニコミ誌や商業誌のライターに。SPA! やサイゾー、キャリコネニュース、マイナビニュース、東洋経済オンラインなどでも執筆中。いろんな識者のお話をうかがったり、イベントにお邪魔したりするのが好き。毎月1日どこかで誰かと何かしら映画を観て飲む集会を開催。X(旧Twitter):@tsuitachiii

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潜入ルポ 経験学歴不問の職場で働いてみた
コロナ渦による不況下の中、誰でも失業する危険は常にある。そんな時にいますぐ働ける職場を知っていたら、こんなに心強いことはないからだ。経験学歴不問の職場ではいくら稼げるのか、どれだけきついのか。実際に働きながら調べることで、読者が本当に知りたい“仕事の本質"が見えてきた。
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