更新日:2022年07月09日 18:16
お金

相次ぐ食料品の物価上昇問題。政府のインフレ対策は大丈夫なのか

ブレブレの経済政策のビジョン

 政府の問題点が浮き彫りになる中、その経済政策はどう映っているのか聞くと、「『岸田政権は大きな失敗もなくそつなくやっている』というイメージがあるため、高い支持率を集めているのだと思います。ただ、経済政策のビジョンはブレまくっていて、どういう方向を目指しているのか分かりにくいです」という。 「就任当初から強調していた“分配重視”は気付けば“成長重視”にすり変わり、最近では所得倍増を資産倍増と言い換えて『貯蓄から投資へ』といったスローガンを掲げています。『分配の話はどこにいったのか?』と疑問しかありません。 もとより、『貯蓄から投資へ』というのは、『老後の面倒を見切れないので、自分達で稼ぐように』という意図もあって、その部分について言えば、一種の棄民政策だと思います。特に国民年金をもっと増額して、政府が直接老後の安心を保障すべきでしょう。また、ある程度資産を持っている国民が投資すること自体は結構な話ですが、『まともな投資教育もなされないまま投資を促して大丈夫か』と危機感を覚えます。今年度から高校で金融リテラシー教育を行うようですが、既に大人になっている人達の教育が十分になされるとは思えないです」

投票に行かないから何も変わらない

 さらに、「岸田政権は『基礎的財政収支(プライマリー・バランス)を黒字化する』、いわゆる『政府の借金を返済する』という方針を未だに維持しています。自民党内の積極財政派の意見に押されて、2025年度に黒字化するという目標は『骨太方針2022』に明記しませんでしたが。 いずれにせよ、私は積極財政(反緊縮)を推奨する立場ですので、早くこの方針を捨て去るべきだと考えています。政府が守るべきは、国民生活の安定と景気、経済成長です。政府の『借金』に縛られて、お金を出し惜しみすべきではありません」とダメ出しを続けた。  最後に参議院選挙の投票が近づいている中、適切な政党・候補者を選ぶために必要な視点として、「マクロ経済のメカニズムをちゃんと理解しているかどうか、『政府の借金』に囚われて国民のためにお金を出し渋りしていないかに注目すべきです」と提案した。 「投票しても何も変わらない」と考え、政治経済に関心を持たず投票に行かない人は多い。その気持ちはよくわかるが、投票率は低空飛行を続けており、「投票に行かないから何も変わらない」という見方もできる。物価上昇は私達の生活をダイレクトに苦しめる喫緊の課題であり、今回の参議院選では政党や候補者の主張に耳を傾けてみてはどうだろうか。 取材・文/望月悠木
フリーライター。主に政治経済、社会問題に関する記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。Twitter:@mochizukiyuuki
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