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既存政党がキワモノ政党から学ぶべきこと<著述家・菅野完氏>

―[月刊日本]―

参政党の躍進

参院選

写真はイメージです

 参政党なる新しい政治集団の躍進が目覚ましい。  5月某日。参政党は「イシキカイカクサミット」と称する政治資金パーティーを行い、広く一般からの参加を募り、5000人以上の参加者を集めた。  驚くべきはそのパーティー券の高額さだ。SS席10万円、S席5万円ときわめて強気の値付け。しかしこれが飛ぶように売れ即日完売したというのだから驚く。参政党はこの日のパーティーだけで、パーティー券収入や会場でのグッズ販売で、2億円前後の政治資金を積み上げたという。  街頭演説の勢いも凄まじい。新橋や新宿などの都内ターミナル駅前のみならず、全国各地の県庁所在地でも軒並み1000人前後の聴衆を集め、どの会場も大盛況だ。自民、立憲、公明、共産などの老舗政党でさえ、動員なしでこの人数を街頭に集めることは不可能にちがいない。  この勢いはすでに情勢調査にも反映されつつある。参院選が近づき実施頻度が高まってきた各社の世論調査では、次の参院選での投票先として「その他の政党」(参政党は政党要件を満たしていないため情勢調査では団体名ではなくこの選択肢に含まれる)を選ぶ人の割合が、ここ最近(5月下旬から6月上旬実施分)では常に2パーセント台を推移するようになっている。これは前回2019年参院選におけるれいわ新選組とNHKから国民を守る党の事前情勢調査数値を合計したものより大きい数値だ。来たる参院選で参政党が、2019年参院選でのれいわ新選組とNHKから国民を守る党の獲得議席合計=3議席を凌駕することも十分にありうる数値と言っていいだろう。

れいわ・NHK旋風と同種

 こうした参政党の人気は、主にネット、とりわけYouTubeを中心に形成されたものだ。参政党の街頭演説の様子をダイジェストにまとめた動画は、今年春ごろからYouTubeに大量に投稿されるようになった。そして動画が大量に投稿されることで、視聴者の目に止まるようになり、ある一定の再生回数を稼ぐようになった。  ここまでくるとあとはYouTube独特のメカニズムが自動的に動き出す。YouTubeには広告収入を当て込んだ弱小動画配信者が無数に巣食っている。この種の小金を獲得することを狙う連中は、常に「話題」を探しており、少しでも話題を集められる素材を見つけると、それを勝手に編集し、自分の動画としてYouTubeに投稿する。そうすることでその特定の話題はさらに大きな話題となり、さらなる広告収入狙いの動画配信者を呼び込んでいく……。  こうして参政党は雪だるま式にYouTubeでの話題となった。現時点では参政党の各種動画は、YouTubeの政治コンテンツの中で最も再生回数と視聴者数を稼ぐ最強の存在と言っていい状況だ。  また彼らの主張が、YouTubeを政治の入り口としてしまうような層にうまく適合していることも事実である。参政党の主張の内容は、反ワクチンや反マスクなどを織り交ぜた愚にもつかない陰謀論もどきのものでしかない。「世の中で常識だ定説だとされているものに、挑戦している自分」を演出して見せるだけで、一定の人気が生まれてしまうのがネットの特徴。参政党はこのネットの風潮をよく理解しており、あらゆる主義主張に、既存の価値観・既存の政治秩序に対する対抗言論を混ぜ込んでいる。その内容は「反対のための反対」でしかなく、既存の価値観を否定することに専念するあまり、前述のように勢いあまって陰謀論にさえ足を踏み込んでしまっている。まともな知性のある人物なら一瞬で取るに足らない物と吐き捨てるに過ぎない代物だが、こうも勢いづくと、ネットの中では「既得権益に争う挑戦者」との称号を冠してしまうのが現実なのだ。  その意味では、2019年参院選における、れいわ・NHK旋風と同種と言える。あの両党も「常識に疑義を挟む」「既存の価値観を否定する」で人気を博した。そして議席獲得後、そのままの路線で突き進み、あれから3年、れいわは凋落しNHK党は実質的に壊滅した。
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〝キワモノ〟たちが既存政治勢力を凌駕する
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