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神宮外苑再開発の陰で蠢く政治家たち<ノンフィクション作家・山岡淳一郎氏>

―[月刊日本]―

電通が企画した外苑再開発

樹木の伐採

写真はイメージです

―― 明治神宮外苑の再開発に伴い、東京都が約1000本の樹木を伐採しようとしていることが明らかになりました。山岡さんはこの問題を取材し、YouTubeの番組「山岡淳一郎のニッポンの崖っぷち」で解説されていますが、再開発の背景について教えてください。 山岡淳一郎氏(以下、山岡) 事の発端は2003年まで遡ります。この年にJEM・PFI共同機構という団体が「東京都防災まちづくり計画事業提案書」なるものを作成します。この団体は平田篤胤を祀った平田神社の中に事務所があり、ゼネコンなどが加盟していました。彼らは神宮外苑を防災拠点にするために再開発を行うように求め、周辺に高層マンションを建設することを計画していました。  この提案は小泉内閣が推進した規制緩和の流れの中から出てきたものです。当時、不動産や建設業界はバブル崩壊のあおりを受け、大量の不良債権を抱え込んでいました。そこで、小泉内閣は都市再生を掲げ、建築物の高さや容積率の規制などをどんどん緩和していきます。高い建物を建築できるようになれば、新たに保留床が生まれ、それを事業者に売ったり貸したりすることができます。それによって不良債権の処理を進めようと考えたわけです。  当時、神宮外苑は風致地区に指定されており、建物の高さの上限は15メートルとされていました。そのため、高さ制限を緩和して高層ビルを建てれば、多くの利益を生み出すことができるとして、再開発にとって格好の場所と見られていたのです。  翌2004年、今度は電通が「GAIEN PROJECT『21世紀の杜』企画提案書」というものを作成します。これは外苑竣工100周年を見据えて東京にオリンピックを招致し、それにあわせて老朽化した神宮球場をドーム化するといった企画でした。予算は300億円を見積り、100億は国、100億は不動産や建設業などの事業者、100億は外苑の地権者である明治神宮に負担してもらう計画だったとされています。  ここからもわかるように、東京オリンピックと外苑再開発は一体のものであり、むしろ再開発の口実としてオリンピックが利用されていると言ったほうが真相に近いと思います。  同じころ、明治神宮が神社本庁からの離脱を表明します。これには外苑再開発問題が関係していると見られ、多くの批判が集まりました。  明治神宮は明治天皇と昭憲皇太后の遺徳を末永く伝えるためにつくられたものです。そこを再開発の対象にし、あの静謐な場所を破壊しようというわけですから、批判されるのは当然だと思います。

森喜朗と石原慎太郎の暗躍

―― 外苑再開発では巨額のお金が動いていますが、政治家は関わっていますか。 山岡 キーパーソンは森喜朗元首相と、先日亡くなった石原慎太郎元都知事です。  JEM・PFI共同機構があった平田神社の6代目当主は、米田勝安氏という人でした。彼はすでに鬼籍に入っていますが、森氏とは早稲田大学時代から親交があり、雄弁会というサークルの仲間だったと報道されています。また、石原氏は1999年から東京都知事を務めており、明治神宮が神社本庁を離脱したころ、明治神宮の総代でした。  東京都がこの問題に本格的に関わるようになったのは2005年からです。元都庁幹部で石原氏のスピーチライターでもあった澤章氏によれば、2005年夏に森氏が突然石原氏のところに訪ねてきます。いったい何のために来たのだろうと不思議に思っていたところ、石原知事が突如、東京に2回目のオリンピックを招致するとぶち上げたのだそうです。まさに電通の提案書に沿ったような動きです。  翌2006年、都庁に五輪招致本部ができ、メインスタジアムの建設が計画されます。このときはまだ外苑が風致地区に指定されていたこともあり、メインスタジアムは晴海につくることになっていました。今回のオリンピックで選手村になったところです。  しかし、2009年のIOC総会で東京は落選し、開催地はリオデジャネイロに決まります。石原氏の落胆ぶりは相当のものだったそうです。  これで外苑再開発も立ち消えになるかと思われましたが、2010年に「ラグビーワールドカップ2019日本大会成功議員連盟」が結成されます。よく知られているように、ラグビー界は森氏と非常に深い関係にあります。そして翌年、この議連が国立競技場をワールドカップのために8万人規模に改築する案をぶち上げたのです。  同じころ石原氏が都知事に4選し、再び東京へのオリンピック招致に意欲を示します。2012年になると、オリンピックのメインスタジアムとして新国立競技場をつくろうという話が出てきます。  東京都もこの動きをアシストします。2013年に国立競技場の周辺一帯を再開発等促進区とすることで、それまで15メートルだった高さ制限を最大80メートルにまで緩和したのです。  同年2013年のIOC総会でついにオリンピックの東京開催が決定します。これを受けて、再開発の動きが本格化します。  2015年には東京都とJSC(日本スポーツ振興センター)、明治神宮、伊藤忠、三井不動産などが「神宮外苑地区まちづくりに係る基本覚書」を締結します。翌2016年には都営霞ヶ丘アパートの解体工事が始まり、住民が強引に立ち退きを求められるなど、大きな問題となりました。  そして昨年2021年に東京オリンピックが開催されました。オリンピックが終わったあと、再開発がどうなるか注目されていましたが、そうした中、今年になって1000本の樹木を伐採する計画が明らかになったのです。しかし、事業者たちは2021年7月の段階で、どれだけの樹木を切るかを把握していました。都民に情報を隠したまま、再開発を進めようとしていたと見られます。
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政官業で利権を分け合う構図
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月刊日本2022年7月号

【特集1】安倍晋三よ! 永田町から退場せよ
【特集2】神宮外苑再開発 鎮守の杜を守れ

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