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高級食パンブーム終焉の声も「さらに店舗を増やしていきたい」乃が美の出店戦略

好立地や中心地への出店を避ける理由とは?

パン工場の様子

乃が美の店舗内に併設されるパン工場の様子。ちなみに店舗形態には2種類あり、パン工場併設型の店舗と、販売に特化した販売店がある

 2015年からFC展開を始め、その1号店を愛知、2号店を福岡へ出店。東海地方や九州地方へは初の店舗展開だったが、売り上げに手応えを感じ、この勢いで全国展開を画策していったという。  さらに同時期には、BALMUDAなどの高級トースターが台頭し、消費者が自宅で美味しいパンを食べる需要が高まったのも、多店舗展開の追い風となった。  そんな乃が美だが、好立地や中心地への出店を極力避けるような形の出店戦略をとってきている。  無論、立地が全てではないが、ブランド認知やアクセスのしやすさを考えれば、駅近物件や大通り沿いの物件に出店した方が多くのメリットを享受できることに変わりはない。  乃が美独自の出店戦略について、小林さんは「高級生食パンは、偶然お店を見つけて入る『機会来店』ではなく、高級生食パンを求めて買いに来る『目的来店』なので、立地環境はあまり関係がない」と話す。 「我々はプロダクトアウトの会社ですので、品質のいいものを作ればお客様に手にとっていただけると考えています。そのため、あえて好立地な物件を選ばなくても、パン工場を併設したお店を出せる立地であれば出店し、店舗を拡大してきたんです。路地裏やメイン通りから少し外れた場所に出店すれば、家賃も抑えることができ、収益性も高まる。このような理由から、立地に縛られない店舗展開を行っています」

感度の高い東京は最後まで出店機会を遅らせていた

 だが、東京については一号店を出店する場所選びについて、 慎重に進めていったという。  現在、乃が美は全国47都道府県に店舗を構えているが、東京進出は46番目と最後の方まで出店を遅らせていたのだ。 「東京は最もポテンシャルの高い街で、市場のニーズも大きいことはわかっていました。ただ、流行の移り変わりが激しく、たとえ大阪発の高級食パン専門店が話題になっているという前評判があっても、最初の出店場所は相当吟味しながら機会をうかがっていました。中途半端に出店しても、感度の高い東京のお客様には受け入れられないのでは、という懸念もありましたので、ここは慎重な判断を持って東京進出しようと考えていました」
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満を持して東京進出。一号店に選んだ場所は…
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1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている

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