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高級食パンブーム終焉の声も「さらに店舗を増やしていきたい」乃が美の出店戦略

ライバルはお米。食パンを食べる機会を増やしたい

スライスした断面

「黒山乃が美」をスライスした断面

 商品開発に力を入れるほか、小林さんは「食パンの喫食機会を増やし、食文化を豊かにしていくためにもペアリングやレシピの提案もしていきたい」と意気込む。 「従来、食パンは朝食が主流でした。ですが、これからはランチやお酒にも合うような食パンを提案できるようにしていければと思っています。ライバルはお米だと思っていて、それはどんなおかずにも合わせられるから。こうした既存概念を覆し、食パンが朝昼晩のどのシーンでも食べてもらえるように工夫していきたい」  レシピ開発は、「ミシュランガイド東京2020」から3年連続でミシュラン一つ星を獲得した、フレンチレストランSioのオーナーシェフとして知られる鳥羽周作氏とアンバサダー契約を結び、さまざまな食シーンに合ったレシピを作っていくという。  また、子供からお年寄りまで、誰もがひと手間加えれば簡単に美味しい食パンができるレシピも考えていくそうだ。  世界一の高級食パン専門店を目指し、乃が美の挑戦はまだまだ続く。最後に小林さんに今後の展望について聞いた。 「東京に関して言えば、まだ8店舗しか展開しておらず、もっと出店できる余地があるので、今後も時期を見極めながらさらに店舗を増やしていきたいと思っています。また、マクロな視点で見ると、日本全国で1000店舗、2000店舗と広げていくのは現実的ではないと考えていて、成長ドライバーは海外にあると捉えています。  昨年、台湾に1号店をオープンしましたが、気候や手に入る材料が日本と異なるゆえに、レシピを安定させ、乃が美の求める品質を担保するのに苦労しました。こうした課題を乗り越え、さらにはコロナや物価上昇などの社会背景を踏まえながら、折を見て海外へも店舗を広げていきたい」 <取材・文/古田島大介>
1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている
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