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高級食パンブーム終焉の声も「さらに店舗を増やしていきたい」乃が美の出店戦略

満を持して東京進出。一号店に選んだ場所は…

 満を持して出店場所に選んだのは、東京でも富裕層が多く集まる麻布十番店だ。乃が美にとって、念願の東京初進出を果たしたのは2018年。  奇しくも、ちょうどその頃は「銀座に志かわ」や「ハレパン HARE/PAN」など、他の高級食パン専門店ができ始めていたこともあり、東京での高級食パンニーズの下地が整ってきたタイミングだった。 「東京でも高級食パンブームが盛り上がり始める時期だったのは、大阪では名のある乃が美にとって、ベストなタイミングだったと思います。特に出店時期については肌感覚で決めた部分もありますが、それが功を奏して麻布十番店に関しては、オープンからずっと好調を維持しています」

高級食パンブームを仕掛けた自負はない

 そんななか、昨今では高級食パンブーム終焉の声も聞かれる。高級食パン専門店にとっては、市場が成熟してきたからこそ、新たな成長戦略を描いていく必要があるだろう。  乃が美は逆風が吹き荒れると言われる市況感をどう捉え、事業を運営しているのか。 「まず、乃が美として高級食パンブームを仕掛けたとは思っていないんです。純粋に美味しい食パンをつくろう、世界一の食パンをつくろうという思いが根本にあるため、高級食パンブームに合わせてビジネスを展開しているわけではない。  逆にブームが巻き起こったことで、高級食パンを食べてもらうお客様が増えたことは、すごくプラスになっていると思います。ブームが終わっても食は普遍的なものですので、乃が美のつくる食パンで美味しい食卓を彩り、食パンを通じて食の豊かさを提供できるように取り組んでいます」
食パン

写真左から「創業乃が美」と「黒山乃が美」

 現在、乃が美の主力商品は創業期の味わいを復刻させた「創業乃が美」と、9年の歳月をかけて独自のおこげ製法を編み出し、新感覚の食感を生み出した「黒山乃が美」の2種類だ。  特に後者の黒山乃が美は、食パンにおいてタブーとされる“焦がし”を製法に取り入れる斬新な商品となっており、 乃が美の技術を結集させたものとなっている。
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ライバルはお米
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1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている

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