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YouTuberはリスクだらけ…動画配信ビジネス「UUUM」と「ANYCOLOR」の明暗

収益の生み出し方が全く違う

ANYCOLOR

「ANYCOLOR」ホームページより

 2社の違いをより明確にするために、どのようにして収益を得ているのかをご紹介します。  まずはUUUMです。  月に公表された決算資料によると、アドセンスと呼ばれる動画再生回数による収益の売上高割合が43.2パーセント、企業からのタイアップ収益が31.7パーセントとなっています。この二点で全体の7割以上となっています。  少し乱暴なくくりとなりますが、主戦場がテレビなどのメディアからYouTubeを筆頭としたインターネットサービスとなった以外は、UUUMは従来の芸能事務所と似ている面が多いと言えるかもしれません。  テレビ局と同様、広告収入が多いからです。  一方のANYCOLORはどうでしょうか。  4月に公表された決算資料を見ると、コマースと呼ばれるグッズやデジタルコンテンツの販売が43.2パーセント、次いでNIJISANJI ENという海外VTuber事業が20.1パーセント、ライブストリーミングと呼ばれるスーパーチャットの投げ銭やYouTubeメンバーシップが19.1パーセントと続いています。  話を簡略化するために売上高割合2位のNIJISANJI ENは一度抜きますが、ANYCOLORはサービスを実際に欲している人から得ている収入が多いことがわかります。  つまり、視聴者(お客さん)からの直接の課金なのです。  先述の通り、UUUMの場合はYouTubeによるアドセンスや企業タイアップなどを介して収入の大部分を得ているので、二社の収益源は全く違います。  では、ANYCOLORはどのようにしてUUUMよりもファンとの距離が近いビジネスを成り立たせているのでしょうか。

鍵を握るのは双方向性

 再度ANYCOLORの決算資料からご紹介しますと、「メディア業界は双方向性と多様性が向上していくパラダイムシフトが起きている」というのがANYCOLORの主張です。  双方向性への期待から配信事業の根幹にライブストリーミング配信を据えており、動画投稿をメインとしているUUUMとはそもそもにおいて異なる戦略と哲学があるのです。  そして、ANYCOLORのライブストリーミング戦略は功を奏しています。  現状においてVTuberにおけるライブ配信は非常に人気のコンテンツです。  視聴者数のランキングサイトなどの発表でも、毎週のようにベスト10に複数のVTuberがランクインしています。  むしろ、ライブストリーミングの場合は実際の人であるYoutuberよりも、VTuberの方が好まれて見られる傾向があるとさえ言えます。  ライブストリーミングによる双方向性がファンからファンから直接お金を落とす契機となっていると共に、新たなファンを生み出す場として十二分に機能しているのです。
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“人”頼みのUUUMが抱えるリスク
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経済アナリスト/一般社団法人 日本金融経済研究所・代表理事。(株)フィスコのシニアアナリストとして日本株の個別銘柄を各メディアで執筆。また、ベンチャー企業の(株)日本クラウドキャピタルでベンチャー業界のアナリスト業務を担う。著書『5万円からでも始められる 黒字転換2倍株で勝つ投資術』Twitter@marikomabuchi

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