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YouTuberはリスクだらけ…動画配信ビジネス「UUUM」と「ANYCOLOR」の明暗

“人”頼みのUUUMが抱えるリスク

 そして、ANYCOLORとUUUMでは今後の成長可能性とリスクにおいても違いがあります。ANYCOLORの成長の鍵を握るのは「配信者の売上高」です。  それぞれの配信者がグッズや投げ銭の売上をどれだけ積み重ねていけるか、この点がひとつの指標となります。  一方のUUUMはチャンネル数(クリエイター数)が成長の指標となりますが、クリエイターの脱退がネックとなります。  特にYoutuberとして人気が出た場合には、UUUMに所属していることで得られるメリットを感じられなくなるということもあります。案件を自分で持ってきた方が“中抜き”されないからです。さらに、コンテンツを伸ばす方法はYouTuber自身のほうが知悉しているケースは少なくありません。  ここ数年、人気YouTuberのUUUM脱退が止まらないのはこれらの理由からでしょう。  また、個人でも動画を投稿できるYouTubeの性質から「独立」が比較的容易だという事業設計自体の難しさもあります。

中長期的な収益を見れば軍配は…?

 この点、ANYCOLORは違います。  最近、人気VTuberの活動休止が発表されましたが、ANYCOLORが自社でキャラクターを設計し、著作権も保有していることから離脱リスクはUUUMよりも低いと言えるでしょう。  ANYCOLORが今後新たな人気のVTuberを生み出した場合、そこから生まれる収益が中・長期的に積み上げられていく可能性がUUUMよりも高いのです。  余談ですが、最近は人気YouTuberの結婚や熱愛報道、ほかには不祥事も盛んに報じられるようになりました。  こうした背景からYouTuber=人にはスキャンダルリスクが伴います。  広告案件の場合、起用したYouTuberにスキャンダルが生じればかなりの損害賠償が発生するリスクを秘めています。  一方、Vtuberにはそのリスクがほとんどありません。これはキャラクターに近いVtuberの大きなメリットと言えるでしょう。  YouTube業界のパイオニアのUUUMに続き、ANYCOLORは動画配信関連事業において新境地を開拓したと言えるでしょう。  しかし、この人気を受けて、別の視点で他のプレイヤーが台頭してくる可能性はゼロではありません。動画配信関連事業の今後の展開が楽しみです。<文/馬渕磨理子>
経済アナリスト/一般社団法人 日本金融経済研究所・代表理事。(株)フィスコのシニアアナリストとして日本株の個別銘柄を各メディアで執筆。また、ベンチャー企業の(株)日本クラウドキャピタルでベンチャー業界のアナリスト業務を担う。著書『5万円からでも始められる 黒字転換2倍株で勝つ投資術』Twitter@marikomabuchi
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