更新日:2022年08月24日 17:42
お金

海外旅行に行きにくいのに「高級カードを持つ意味」は? 変化する上級会員の欲求

 プラチナカードやブラックカードといった「ステータスカード」。ハイステータスの証として、一度は憧れたことはないだろうか。通常のクレジットカードにはないポイント還元率や、海外の空港ラウンジ利用、高級ホテルやレストランでの特別優待といった付帯特典は、ステータスカードの大きな魅力となっているのだ。  こうしたなか、2016年に日本へ上陸し、金属製の高級感漂うデザインが特徴のカードといえば「ラグジュアリーカード」だ。
ラグジュアリーカード

2016年に日本上陸したMastercardの最上位クラス「ラグジュアリーカード」

 コロナ禍でもカード利用額は毎年過去最高を更新し、いま最も勢いのあるステータスカードブランドと呼ばれている。
菊地望

Luxury Card Japan COOの菊地望さん

 直近のクレジットカードにおけるトレンドの変遷や利用ニーズの動向について、Luxury Card Japan COOの菊地望さんに話を聞いた。

ステータスカードはコロナ禍で国内での優待利用を促すように

 社会的信用の担保や海外旅行での豪華なおもてなしなど、年会費が3万円以上するステータスカードを所有するメリットはいくつかある。しかしコロナ禍によって、「ステータスカードに求められる付帯特典のニーズが変わってきている」と菊地さんは言う。 「例えば、海外旅行の際に現金を持ち歩かなくてもいい、空港ラウンジに入れる、旅行傷害保険が充実している……など、ステータスカードならではのメリットを享受できたわけですが、コロナ禍で状況が一変し、日常使いのニーズが高まっているんです。物理的に海外へ渡航できなくなった代わりに、優待を受けられる国内の高級ホテルや旅館の数を増やしたり、フードデリバリーサービスのキャッシュバック特典を付けたりと、国内での利用を促進させる動きが顕著になりました」

「ニーズの二極化」や「カードのメタル化」が顕著に

高級食材のお取り寄せグルメ

代官山の有名日本料理店「割烹TAJIMA」との取り組みで、豊洲市場で仕入れた高級食材のお取り寄せグルメ「割烹TAJIMAミールキット」を会員向けに案内したところ、わずか2日間で120万円分の販売があったという

 ラグジュアリーカードも、コロナ禍でユーザーのQOL(Quality of Life)を高めるために、これまでとは異なるサービスを積極的に次々と取り入れたという。 「コロナ禍でStayHomeが叫ばれ、在宅で過ごす時間が増えたため、自宅で楽しめる無料ストリーミング配信のコンテンツや、高級食材を使ったお取り寄せグルメの優待、厳選したワインのお取り寄せなど、巣ごもり需要に沿ったサービスの充実を図り、カードホルダーの方々のQOL向上に努めてきました」  また、社会情勢の変化はもとよりカードに求めるニーズの二極化が加速化しているそうだ。 「お客様のライフスタイルや志向によって、キャッシュレスの文脈からタッチ決済対応のカードや、ナンバーレスカード(券面にカード情報が記載されていないカード)を選び、使い勝手の良さを重視する方もいれば、“ステータスの象徴”としてステータスカードを所有する方もいる。特にステータスカードのトレンドとして、プラスチックからメタル(金属)にシフトする傾向が見られます。メタルの方が手触り感や見た目の部分でも、よりプレミアムな雰囲気を出せるとあって、カード各社における『ステータスカードのメタル化』が進んでいるような状況です」
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1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている

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