海外旅行に行きにくいのに「高級カードを持つ意味」は? 変化する上級会員の欲求
プラチナカードやブラックカードといった「ステータスカード」。ハイステータスの証として、一度は憧れたことはないだろうか。通常のクレジットカードにはないポイント還元率や、海外の空港ラウンジ利用、高級ホテルやレストランでの特別優待といった付帯特典は、ステータスカードの大きな魅力となっているのだ。
こうしたなか、2016年に日本へ上陸し、金属製の高級感漂うデザインが特徴のカードといえば「ラグジュアリーカード」だ。
社会的信用の担保や海外旅行での豪華なおもてなしなど、年会費が3万円以上するステータスカードを所有するメリットはいくつかある。しかしコロナ禍によって、「ステータスカードに求められる付帯特典のニーズが変わってきている」と菊地さんは言う。
「例えば、海外旅行の際に現金を持ち歩かなくてもいい、空港ラウンジに入れる、旅行傷害保険が充実している……など、ステータスカードならではのメリットを享受できたわけですが、コロナ禍で状況が一変し、日常使いのニーズが高まっているんです。物理的に海外へ渡航できなくなった代わりに、優待を受けられる国内の高級ホテルや旅館の数を増やしたり、フードデリバリーサービスのキャッシュバック特典を付けたりと、国内での利用を促進させる動きが顕著になりました」
ラグジュアリーカードも、コロナ禍でユーザーのQOL(Quality of Life)を高めるために、これまでとは異なるサービスを積極的に次々と取り入れたという。
「コロナ禍でStayHomeが叫ばれ、在宅で過ごす時間が増えたため、自宅で楽しめる無料ストリーミング配信のコンテンツや、高級食材を使ったお取り寄せグルメの優待、厳選したワインのお取り寄せなど、巣ごもり需要に沿ったサービスの充実を図り、カードホルダーの方々のQOL向上に努めてきました」
また、社会情勢の変化はもとよりカードに求めるニーズの二極化が加速化しているそうだ。
「お客様のライフスタイルや志向によって、キャッシュレスの文脈からタッチ決済対応のカードや、ナンバーレスカード(券面にカード情報が記載されていないカード)を選び、使い勝手の良さを重視する方もいれば、“ステータスの象徴”としてステータスカードを所有する方もいる。特にステータスカードのトレンドとして、プラスチックからメタル(金属)にシフトする傾向が見られます。メタルの方が手触り感や見た目の部分でも、よりプレミアムな雰囲気を出せるとあって、カード各社における『ステータスカードのメタル化』が進んでいるような状況です」
コロナ禍でもカード利用額は毎年過去最高を更新し、いま最も勢いのあるステータスカードブランドと呼ばれている。
直近のクレジットカードにおけるトレンドの変遷や利用ニーズの動向について、Luxury Card Japan COOの菊地望さんに話を聞いた。
ステータスカードはコロナ禍で国内での優待利用を促すように
「ニーズの二極化」や「カードのメタル化」が顕著に
1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている
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