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IQ150でも職場のお荷物に? 知られざる高IQ・ギフテッドの悩み

最高評価で入社した会社を1年でクビに!

 前述の就職活動においても、自身の素質をより感じた。  自分が初めて入社した会社(以降、A社) の採用試験の一環で「TG-WEB」という適性試験の言語及び数理に関する判断推理力検査を受験することになった。規則性を見出す力や論理力を測る試験である。  結果は、(入社してから知ったのだが)言語・数理ともに最高評価で、当時の歴代受験者の中で最も良い総合点を叩き出した。この成績のおかげか、採用の話はとんとん拍子で進み、A社で働く運びとなった。またもや特段の対策をすることなく良いスコアを取れたのだ。  ここまで読むと「才能に恵まれたヤツの自慢話なんか聞きたくないぜ!」というお叱りを受けてしまうかもしれない。だが、ここからが本題なのだ。こんな私だが、決して順風満帆な社会人生活を送れているわけではない。せっかく採用されたA社を、1年でクビになってしまうのだから。  私が働き始めて1年後、吸収合併のためA社自体がなくなることになった。A社所属の社員が整理されるなか、自分以外の社員は親会社に残ることになったのに対し、私一人が親会社に残ることが出来ず、退職勧告を受けA社を去ることになったのだ。原因として思い当たる節はあった。仕事におけるコミュニケーション能力の不足だ。  話の要点を掴んだり先読みしたりする素質があると言いながら、コミュニケーション能力が不足しているというのは矛盾しているのではないか? 私も最初はそう思ったのだが、よくよく考えるとそうでもないことに気づく。話を先読みするがゆえに、話が嚙み合わなくなってしまったのだ。

高IQゆえ、話を先読みしてしまう癖が仇となる

 とある日のこと。「それってどちらの話のことですか?」と話の分岐点を探るため上司に確認を取ることがあった。すると「〇〇のことに決まってるじゃん」と怪訝な態度を取られた。自分としては、物事を場合分けして考えたところ、二通りの可能性が存在した。しかし、彼の中では一通りの解釈になる、という様子だった。  確認のために聞いているのに不快な表情をされる。このようなことが積み重なり、自分の疑問を伝えるのが億劫になった。ついには、「そもそも会話しても無駄だ」と考え、コミュニケーション不足となり、会社にとってお荷物の状態に陥っていた。「素質」だと思っていた部分が、ここでは仇となってしまったのだ。 「IQが高いなら相手から何が求められているか分かって、それに対して何をすればよいか分かるものなんじゃないの?」  この言葉は自分自身が直接言われた経験はないが、動画サイトなどで高IQの人が取り上げられている際にコメントで見かける内容だ。IQが高いこととコミュニケーション能力は別物である、と感じるようになった。  IQに関係なく、誰にとってもそれぞれの生きづらさを感じる場面はあると思われるが、変に考えすぎてしまうがために自分自身を苦しめている事実は、高IQならではの悩みと言えるのかもしれない。考えることも必要ではあるが、考えを自分自身の中に留めるのではなく、コミュニケーションを通じて考えを共有したり、考えを行動に移して顕在化したりすることが大事であると感じる、今日この頃である。  次回、私生活においてのつまづきを語っていこうと思う。 <藤井達也> 山口県出身、30歳のITエンジニア。JAPAN MENSA会員。横浜国立大学中退。IQを測れるテレビ番組で測ったところIQ156だったことも。
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