更新日:2022年10月24日 11:08
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香川照之「ホステス性加害」問題。銀座のママたちはどう見る?<緊急座談会>

銀座ならセクハラはOKという声に対して

ル ジャルダン、望月明美ママ

ル ジャルダン、望月明美ママ「なぜスタッフが注意しなかったの?という点に疑問が残ります」

──それが事実なら、物語のトーンは変わってきますね。 河西:うちのお店でも、過去にお客様がホステスに暴力トラブルを起こしたことがありました。女のコには「申し訳ない。もう彼は出禁にするので許してほしい」と私が頭を下げ、封筒にお札を入れて渡しました。そのコは「ママがそこまで言うなら……」と気を取り直してくれたんですけど。本来ママというのは誠心誠意、向き合わなくちゃいけない。そういった信頼関係が香川さんの行ったお店で構築できていたのか、そこは論点にはなると思います。 ──今「銀座は高い給料をもらえるのだから、ブラジャーを取られるくらい当たり前」という声もあります。 河西:とんでもない話です。性風俗のお仕事じゃないんですから。 望月:銀座での職場環境って、世の中が想像している以上にホワイトだと思うんです。あるお店で働くのが嫌になったら、すぐに辞めて他のお店に移ることができる。そうしたら、その日からすぐお給料だって出ますしね。「嫌だったら辞めればいい」というのが考え方の基本にあるから、わざわざ苦しい思いまでして働き続ける必要はないんです。だからこそ、ホステスとママの裁判沙汰というところに違和感が残るんですけど……。 白坂:そもそも、触ったらモテないですから。“痛客”扱いされて終わりです。 甲賀:もちろん、銀座のホステスさんの中には「軽いセクハラもOK」って考えの人もいるでしょう。ただ、営業の一環で能動的にやるケースで、強制されてニコニコしている人なんていません。
日本水商売協会代表理事・甲賀香織さん

日本水商売協会代表理事・甲賀香織さん「軽いセクハラはOKのホステスさんも、強制されるのは別」

遊びの範疇なら許容されるが…

──銀座にも、色恋営業自体はあるんですか。 望月:もちろんいますよ。銀座から色恋を取って何が残るんですか(笑)。 白坂:過去にとんでもない判決が裁判所で出たんですよ。まず男性客の奥さんがホステスを相手に不貞行為だと訴えまして。普通だったらそこでホステスが慰謝料を支払うかたちで納まるはずなのに、裁判官は「支払わなくていい」と判断したんですね。つまりエッチもホステスとしての営業行為の一環だという結論を出したんです。 望月:ひと昔前の銀座では、「某大物代議士の愛人」ってホステスで溢れてました。 河西:銀座はあくまで楽しくお酒を飲む街。セクハラにしろ色恋にしろ、楽しい遊びの範疇なら、許容される懐の深さはあります。 白坂:今回の件について銀座を知っている人ほど「表沙汰になることはありえない」と口を揃えます。銀座のルールを逸脱した何かが起こってしまったことは間違いないでしょうね。
クラブ稲葉、白坂亜紀ママ

クラブ稲葉、白坂亜紀ママ「銀座は楽しく飲む街。セクハラにしろ色恋にしろ、楽しい遊びの範疇なら、許容される懐の深さはあります」

 功成り名を遂げた男たちが、己のステイタスを確認するための街、それが銀座──倉科遼原作の『女帝』で再三使われるフレーズだが、それは酒席での所作も加味したうえでの言葉であることに相違はない。“香川騒動”の詳細については、いまだ不明な点は多いが、どれほどの地位や名声を誇っていても、お店や働く女性への配慮の欠落がトラブルの元となるのは、銀座に限らず、どの街でも変わりはないのだ。    <取材・文/小野田 衛 撮影/渡辺秀之>
出版社勤務を経て、フリーのライター/編集者に。エンタメ誌、週刊誌、女性誌、各種Web媒体などで執筆をおこなう。芸能を中心に、貧困や社会問題などの取材も得意としている。著書に『韓流エンタメ日本侵攻戦略』(扶桑社新書)、『アイドルに捧げた青春 アップアップガールズ(仮)の真実』(竹書房)。
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