恋愛・結婚

「好きや愛してるを使えない」ラブレター代筆屋が明かす仕事の苦悩

ラブレターにキラーフレーズは存在しない

ホワイトボード

思いついた言葉や単語を書き留めたボード

 代筆の際に重視しているのが、「受け取った相手がどう感じるか」だ。 「よく『ラブレターで使えるキラーフレーズを教えてください』と聞かれますが、キラーフレーズなんて存在しないと思っています。一人ひとりで響く言葉って違うし、相手によって受け止め方も変わる。手紙を読んだ相手がどう感じるか、気持ちを押し付けていないか。代筆する時はそれを意識しています」  ラブレターに限らず、コミュニケーション全般に通じる話だろう。相手の受け取り方を考えながら書けるのは、“当事者ではない”代筆屋だからこそとも言える。 「ある程度引いた立場で冷静に、論理的に考えられますね。これが当事者だったら難しいのかもしれません。客観的になれるくらいの相手だと、ラブレターを書こうとはならないだろうし(笑)。僕自身も子供の頃からラブレターを書いて渡してきましたが、今みたいに受け取った相手がどう感じるかは考えていなかったですね。自分の気持ちを伝えるためだけに書いていました。今のような考えになったのは、依頼の失敗がきっかけです」

代筆がバレてクレームが…書き方を意識するように

代筆屋 8年間の活動の中で、たった一度だけ起きた失敗。“代筆屋が書いた手紙”とバレてしまったのだ。 「外国の方からの依頼で、会社の同僚に告白をしたいという内容でした。日本語を話すのはなんとなくできても、書くのは苦手だったそうで。代筆屋を始めたばかりでまだ経験が浅かったので、依頼人のことを意識せずに“自分で手紙を書く”感覚で書いてしまったんですよ。その方が到底使わないような日本語を使ってしまったのが決定打でした。手紙を渡した相手に、『これは本当に自分で書いたの?』って言われたとクレームがきてしまって……」  この件をきっかけに、依頼人の人柄に合わせて文体や言葉を選ぶようになった。「始めた当初の文章が40点なら、今では85点くらい」と小林さんは笑う。 「代筆を重ねて文章力が上がっていると感じています。昔は自分が書いていて心地よい文章をとりあえず書く、みたいなところがあったので。今では文体などを意識して変えています。80代の方の代筆だと、『あなた』って言葉を『貴方』にしたり。お会いした時の印象と年齢から、『あなた』はしっくりこないなと感じたので。それが100%正しいのかは分からないですけどね」
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相手に渡さないラブレターも…
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