更新日:2022年12月19日 21:01
エンタメ

ウエストランド「悲願のM-1グランプリ制覇」の裏にあった“大博打”の勝算

▼ロングコートダディ

ロングコートダディ

ロングコートダディ ©M-1グランプリ事務局

 4番手に登場は2年連続出場の「ロングコートダディ」。ここで偶然にも準決勝まで残った昨年のファイナリストが順番に登場することとなった。  ネタは2人で「マラソン世界大会の雰囲気をみんなに見てもらう」という設定でほぼツッコミのない漫才を披露。「マラソンあるある」から始まり、2人でさまざまなランナーが演じるのだが「マラソンランナー大喜利」のような様相を呈する。ただ、それだけで終わらずしっかりと物語として大きな笑いとともに完結させた。  明らかにわかる大きなウケを取り、得点は660点。「真空ジェシカ」に13点も差をつけ1位に躍り出た。松本さんから「いい根性している。最後まで漫才を縦で見せた」というコメント。  昨年、審査員を務めたオール巨人師匠から「センターマイクから外れすぎている」という指摘があったが、今年は大事な部分をしっかりセンターでやりきった。塙君と大吉さんから「ネタ時間が短い」という言及があり、それがその後にまたドラマを生むことになる。

▼さや香

さや香

さや香 ©M-1グランプリ事務局

 高得点を叩き出したあとは出たくないはずである。その舞台に登場することになったのが5年ぶりに決勝に帰ってきた「さや香」だ。  ネタはボケ担当34歳の石井君が急激に衰えを感じてきたということで免許を返納したというところから始まる。衰えを感じた石井君の行動が実はまだ若いと訴えるツッコミ担当新山君。  この2人の怒鳴り合いが面白く、終盤は新山君のテンポとリズムのいい言葉のチョイスが光る。  これもまた明らかにロングコートダディを上回るエグいウケ方で得点667点。またもや1位が変わる展開に。礼二からは「素晴らしい漫才をだった」、大吉さんからは「とんでもない漫才を見た」、塙君から「フリートークのような漫才。みんながやりたくてもできない漫才」と大絶賛。  松本さんからは「ツッコミが、観客が言ってほしいことを適切なボリュームで言ってくれてることが気持ちよかった 」とテクニカルな部分への賛辞もあった。5年の歳月を経て、「さや香」が栄光に近づいた瞬間だった。
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松本人志絶賛の「音符運び」
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1972年、大阪府生まれ。1992年、11期生としてNSC大阪校に入校。主な同期に「中川家」、ケンドーコバヤシ、たむらけんじ、陣内智則らがいる。NSC在学中にケンドーコバヤシと「松口VS小林」を結成。1995年に解散後、大上邦博と「ハリガネロック」を結成、「ABCお笑い新人グランプリ」など賞レースを席巻。その後も「第1回M-1グランプリ」準優勝、「第4回爆笑オンエアバトル チャンピオン大会」優勝などの実績を重ねるが、2014年にコンビを解散。著書『芸人迷子

芸人迷子

島田紳助、松本人志、千原ジュニア、中川家、ケンドーコバヤシ、ブラックマヨネーズ……笑いの傑物たちとの日々の中で出会った「面白さ」と「悲しさ」を綴った入魂の迷走録。

⇒試し読みも出来る! ユウキロック著『芸人迷子』特設サイト(http://www.fusosha.co.jp/special/geininmaigo/)

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