更新日:2023年03月05日 21:21
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“大地震で死者5万人超”。トルコ出身芸人が語る「我が国は姉歯大国」

「トルコは姉歯大国」の真意

――姉歯大国というのは、2005年に明るみになった元一級建築士の姉歯秀次らによる「構造計算書偽造問題」のことでしょうか? デミル:はい、日本人はよく覚えていると思いますが、耐震偽装の事件のことです。ただ、この偽装事件は建物倒壊が起こる前に国の検査で問題が発覚し、死者も出ていません。トルコも1999年に大地震が発生して、数年かかりましたけど、建物の耐震性を高めるための条例が決まったのです。しかし、一方で2018年に安全基準を満たさなくても、一定の金額を払えば、政府が建設を認可してくれる「行政処分免除」制度が定められました。それが乱発されたせいで耐震基準を満たしていない建設が今回の地震で大量に倒壊しました。これを人災と言わずなんというのでしょう。 ――トルコ国内でもエルドアン大統領を批判する声が高まっています。 デミル:(深いため息)今回の地震を受けて、国民の考えが変わることを僕は正直願っています。トルコ国内はますます表現の自由が失われ、政治批判がしにくくなっています。震災後はツイッターの利用規制がかかっています。政治批判を防ぐためのようですが、そのせいで生き埋めになった人や救助を待つ人たちの声が支援団体に届かなくなっていると聞きます。なぜそんなことをするのかわかりません。

「地震も神の意思」とする国民も

デミル――欧米諸国からも人権弾圧など批判の声が集まっているエルドアン大統領ですが、2014年から現在までの長期政権を築いています。 デミル:トルコ国民は信仰心に篤いので、政治家の責任をあまり求めないですね。「地震も神の意思だった」と、本気で神様のせいにしている人もいます。たぶん彼を支持している人は、政治的な成果ではなく、宗教色の強い政策や存在感があるからという理由だけで支持している。だから僕、今回集めた寄附金も民間の非営利団体に送ろうと思っています。
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トルコでスタンダップコメディをやっていた
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平成生まれのライター、編集者。ファミマ、ワークマンマニア。「日刊SPA!」「bizSPA!フレッシュ」などの媒体で執筆しています

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