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アメリカの2つの銀行が破綻…世界の金融市場が揺れる今「投資すべき個別株」をプロが厳選

金融危機は本当に去った?

 アメリカの株式市場や市場環境に日本の株式市場は大きく影響される。22日の東京市場では金融危機が回避されたと、この数週間下げていた金融や商社などが再び買われた。  しかし、金融危機は去ったのだろうか?  アメリカでは、今度はファーストリパブリック銀行の経営について疑問が上がっている。同社の株価は3月に入って10分の1にまで下がっている。大手の米銀が日本円で4兆円規模の預金支援をしたものの、市場の信認は受けていない。  ファーストリパブリック銀行は歴史ある中堅銀行である。シリコンバレー銀行の主な取引企業は西海岸のIT関連などの立ち上げたばかりのスタートアップ企業、シグニチャーバンクは変動が非常に大きい暗号資産取引を得意とするなど、ある意味で普通の銀行とは毛色が違ったが、ファーストリパブリック銀行は、従来型の商業銀行である。そういった銀行の不安定さは意味合いが違う。  また、ヨーロッパの銀行も、クレディ・スイスが、USBに合併されたからといって安心なのだろうか? SNSでは他の欧州の大銀行の経営に不安を表明する書き込みが多い。シリコンバレー銀行は、SNS発の情報が一気に経営破綻に追い込んだとも言われ、ネットが破綻に追い込んだ最初の金融機関とも言われている。

確実に利益を確保する姿勢が大切

 私たち投資家は、こうした不安定な時代にあることを決して忘れたはならない。下手をすると、リーマンショック並みではなくても、株価が大きく下がる可能性のある、綱渡りの市場環境にいるということだ。  私が主宰している小さな投資の勉強会で11月に金融機関の株価の上昇の可能性を話していたのだが、2月に参加者が、あまりにも上がったので驚いたと表明していた。  ある参加者から相談されたのが、儲かった金融株はさらに上がるのか、そろそろ売った方がいいのかという質問だ。そんな大切なことを人任せにしてはいけない。  拙著『安心・安全・確実な投資の教科書』で繰り返し強調したのだが、爆上げした株式を持っていたとしても、それだけでは儲けを出したことにはならない。売却し利益を確定して初めて株式投資が成功したことになる。  このまま上がるのなら売りたくない。下がるのなら売ってしまいたい。目を閉じてえいやっと決めてしまう人が多いが、それは、賢い投資家の姿ではない。  どんな統計や理論を持ち出したとしても、先のことは見えない。だからこそ、利益確定を所有している株式の一部で行うのが正しいと考える。その後、下がったのなら売っておいて良かったとなるし、上がったのなら、全部売らずに良かったとなる。  大成功を狙うのではなく、確実な中成功を狙っていくのだ。市場に対する謙虚さこそが、確実に利益を確保していく姿勢である。
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いま狙うべき銘柄は?
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経済評論家、ジャーナリスト。1961年、東京都生まれ。慶應義塾大学商学部卒業、東京大学社会情報研究所教育部修了。JPモルガン、チェースマンハッタン銀行ではデリバティブを担当。その後、企業コンサルタント、放送作家などを経て現職。著書に『つみたてよりも個別株! 新NISAこの10銘柄を買いなさい!』、『年収300万~700万円 普通の人が老後まで安心して暮らすためのお金の話』、『しあわせとお金の距離について』、『安心・安全・確実な投資の教科書』など多数 twitter:@SatoHaruhiko

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