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皐月賞でダノンタッチダウンに騎乗する川田将雅が“仕事人間”から変わった理由

オンとオフの切り替えができるように

川田将雅氏

川田将雅氏 
写真/橋本健

 当たり前ですが、ジョッキーには有給休暇もないし、まとまったオフもない。一年中、馬に乗っている仕事です。  でも実際には、一年中どころではないのです。僕で言えば、デビューしてからは丸19年、競馬学校時代を入れれば20年以上、馬に乗り続けているわけです。  依頼をいただく側がこんなことを言ってはいけないのかもしれませんが、これだけ乗り続けていると、どうしてもうんざりしてくることがあります。  正直、もう嫌だ、もう競馬に乗りたくないという思いに駆られてしまう時間もありました。  それが、図らずもオンとオフの切り替えができるようになったことで、そういう気持ちが頭をもたげてくることがなくなったのです。

「プラスを取りに行く」ことが必要

 気持ちだけでなく、体にもいい変化がありました。自分の時間が増えたことで、体のメンテナンスに費やす時間も増え、疲れも取れて、体のパフォーマンスが明らかに向上しました。  30代後半にして、間違いなく今が一番、体が動きます。  コロナによるストレスは当然ありましたし、感染症なんてなければないに越したことがないのは当然として、よくないことが起きたときに、そこばかりに焦点を当てていては悪循環に陥るだけです。  僕らは競馬を通して、「いかにして負けを次につなげるか」という作業を繰り返してきたわけですから、コロナ禍も一緒で、むしろそこから「プラスを取りに行く」ことも必要ですよね。
1985年生まれ、2004年にデビュー。08年に皐月賞をキャプテントゥーレで勝利してGIジョッキーの仲間入り。12年にはジェンティルドンナでオークスを制し、名実ともにトップジョッキーに。13、14、19、20、21年に最高勝率騎手、16年に特別模範騎手賞を受賞。同年にマカヒキで日本ダービーを制覇。22年は最多勝利・最高勝率・最多賞金獲得の三冠を実現し、史上4人目となる「騎手大賞」を獲得。9年ぶりの「JRA生え抜きリーディングジョッキー」となった。
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