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文春砲を受けた黒岩知事が圧勝した理由。「神奈川ならではの事情」が背景に

埋もれてしまう国会議員よりも…

そして、歳月が経過するとともに国会議員の意識も大きく変化していきます。国会議員は数多くいるうちの一人に過ぎません。衆議院議員は定数が465人ですから、国会議員一人が及ぼすことができる影響力は465分の一です。同様に参議院議員は248分の一です。 一方、知事や市長は一人しかいません。言うならば、横浜市長は横浜市という枠内なら国会議員を凌ぐ大きな存在感と権限を発揮できる政治家なのです。 永田町を取材していると、ワンオブゼムで埋もれてしまう国会議員よりも自分の理念が強く反映できる知事や政令指定都市の市長になりたいと考えるようになった議員が増えていることに気づかされます。

横浜市長選のほうが激戦に

先述したように神奈川県には3つの政令指定都市があります。横浜市ほどではないにしても、川崎市も相模原市も人口・財政規模ともに大きく、政令指定都市であるがゆえに神奈川県知事の権限が及ぼせる影響力は限定的です。相模原市も同様です。神奈川県知事が強大な権限と財源を有することは揺るぎませんが、こうした事情から、神奈川県知事よりも横浜市長を目指す候補者が増えました。 その結果、横浜市長選に人が流れるようになりました。近年の横浜市長選へ激戦と化し、逆に神奈川県知事選は激戦になりにくくなっています。 逆説的になりますが、黒岩候補がスキャンダルの影響を受けずに圧勝できたのは、そうした事情に助けられた面があることは否めません。 また、国政と比べて地方選は有権者の関心が低い傾向にあることも一因として考えられます。統一地方選は地域ごとの課題が異なることもあり、有権者は出身地・居住地・勤務地といった自分と関係ある自治体以外の動向に関心が向きません。
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身近な政治を軽視してはいけない
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フリーランスライター・カメラマン。1977年、静岡市生まれ。行政誌編集者を経てフリーに。首相官邸で実施される首相会見にはフリーランスで唯一のカメラマンとしても参加し、官邸への出入りは10年超。著書に『渋沢栄一と鉄道』(天夢人)などがある Twitter:@ogawahiro

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