千原ジュニア新作『嗚呼 蝶でありたい』刊行記念イベントをフルリポート!「せいじは完全に蛾」
芸人・千原ジュニアが、週刊SPA!で好評連載中の4コマ漫画連載をまとめた書籍『嗚呼、蝶でありたい』(小社刊)を5月15日に発売。前日の14日に新宿ブックセンターでサイン会を開催した。本記事では記者会見とサイン会の様子をフルリポートする!
スーツ姿で現れた千原ジュニア。今回、発売を記念したオリジナルTシャツが製作されたこともあり、司会者が「それではTシャツをお持ちいただいたカットを……」とお願いすると、千原ジュニアは記者たちの空気を読み取り「……この写真、いる?」とさっそく笑わせ和やかに会見がスタートした。
――4コマ漫画を描くきっかけは?
ジュニア:長年付き合いのあるSPA!の編集者に言われたのがきっかけですね。SPA!で10年くらい連載してて、もう10年で一区切りかなと思っていたら、『新しい企画を考えまして、4コマ漫画を描いてもらえませんか』と言われたので、一刀両断で断わりました(笑)。それから半年か1年くらいあったんですが、あまりにもしつこいので、しぶしぶ覚悟を決めました。
――自信はあったんですか?
ジュニア:まったくないです。僕が手を出せるような世界ではないと思っていて。
――やってみて難しい?
ジュニア:めちゃくちゃ難しいですね。説明しすぎても無粋ですし、説明があまりにもなければ伝わらないですし、伝わらないと意味がないし、みたいな。
――コントを作るときと違いますか?
ジュニア:コントは、なんとなく自分のなかに正解があって作るので。やはり違いますね。
――画力というのはご自身で?
ジュニア:そうです。画力がもっとあれば、笑いもそうですし、伝わりやすくなるのにな、と。不甲斐ない想いをしながら日々描いています。
――描くのはパソコンか何かですか?
ジュニア:ペンで手描きです。
――初期に比べてうまくなっているという感覚は?
ジュニア:いや、初期からそんなに変わってない。全然上達していないです。僕は小さい頃に漫画を描いたり、好きなキャラクターを模写していたような時代は一切ないんで。絵は大喜利の答えで描くくらいしかなかったので、非常に大変な思いをしています。
――大喜利のときは、絵を描いたほうが伝わるということがある?
ジュニア:そうですね。絵のほうがいいなとか、文字のほうがいいなとか。それはそのときの瞬間のジャッジですけど。
――4コマだと起承転結みたいなものは考えつくんですか?
ジュニア:起承転結ってほど、堅苦しく考えてないですね。
――絵はアングルとか考えているんですよね?
ジュニア:これがね、難しいんですよ。カット割りが。「いまさら何言ってん」って話ですけど、本当に漫画家の先生方が、いかにすごいか。監督してカット割りして、カメラやって、セリフ書いて、(キャラに)演じさせるわけですからね。いや、すごいなと思いましたね。
――コントはカット割りまでは考えない?
ジュニア:コントは、なんとなく「どういう立ち位置で、セットはこんな感じで、衣装はこんな感じで」と設定を考えたときに出てくる。4コマ漫画はお話が一個できても、それを例えば20代の女性にした方がいいのか、60代の男性にした方がいいのか、60代男性した場合、太ったほうがいいのか、頭はハゲてた方がいいのか、とかいろんなことがあるんで。
――正解というのは、わからない?
ジュニア:本当に……正直なこと言うとアイディアだけ渡すんで、絵上手い人に描いてほしい(笑)
――『嗚呼 蝶でありたい』というタイトルの意味は?
ジュニア:本の中にその一説が出てくる4コマがあって。例えばドラマとか漫画でも、主人公が出てくるセリフをそのままタイトルにしているのはあると思うんですけど。
4コマ漫画ではあんまりそういうのないんじゃないかなと思って、やらせてもらいました。
その4コマは、笑いを取りに行くみたいな作品ではないんですけど。
蝶と蛾、見た目は非常に似ていますが、蝶と蛾の違いを大雑把に言うと、蝶は花にとまるときに羽を閉じてとまる、蛾は開きっぱなし。これは、人間にもいえるなと。
ドアを開けて入って閉めないみたいな人は、蛾やなぁって思うし。お味噌汁いただいて蓋をちゃんとお椀に戻してごちそうさまでしたっていう人、蝶やなぁって思うし、新幹線に乗ってもリクライニング倒してテーブル倒して降りる人がいる。
蛾やなぁって思うから。蝶でありたいなって。
――ジュニアさんは蝶のイメージがありますがご自身にも蛾の部分もある?
ジュニア:まぁまぁチャック開けっ放しです。蛾ですね。
――どんな人に読んでもらいたいですか?
ジュニア:どんな人ってことはないですが、せっかく描いたんで、たくさんの人に読んでほしいなと思います。描いているときがコロナのど真ん中もど真ん中なので、あーこんな時代やったなーみたいな時事ネタもあるので、楽しんでいただけたらなと。
――芸人仲間にも本を渡したりしましたか?
ジュニア:今日は(ドランクドラゴンの)鈴木拓と一緒だったんで、鈴木拓には渡したけど、ちょっと恥ずかしいですよね。
――お兄さん(千原せいじ)にも?
ジュニア:お兄さんも何篇か出てきますんで。まぁそうですね、お兄さんに渡しますか(笑)。
――「蝶でありたい」ということなんですけど、そういう繊細な感覚がお笑いやこの作品に生かされたというのはありますか?
ジュニア:いや、自分ではあんまり繊細と認識していないんで、どうなんでしょう。でも時間かけようと思ったらなんぼでもかけられる作業なんで。
どこでペンを離すかというか。あんまり書き込みすぎても、鼻息の荒さがでて冷めてしまうような気もするし。だからって手を抜いてるように思われるのも……。そのあたりは何か難しい。いまだに全然わからずやってます。
――せいじさんは、ちょっと失礼かもしれないですが、蛾タイプなのかなと思うんですが……
ジュニア:もう蛾でいったら、(羽のように広げた腕を身体の内側に畳んで)もう逆側に羽を閉じるくらい(笑)
――憧れることはなくても、羨ましいなって思うことはありますか?
ジュニア:距離の詰め方とか。僕は、人との距離を詰めるのにかかった時間って本当に無駄な時間やなと思うので。宮古島に友達がいますけど、めちゃくちゃ仲良くなるまでに6年かかっているんですよ。そんな時間ほんま無駄やなって思います。
そういう意味では、せいじなんて、新幹線で隣になった人とめちゃくちゃ仲良くなって、名古屋あたりで大喧嘩してますからね(笑)。そのあたりは憧れますね。
――コンビとしては「蝶と蛾」は相性がいいですかね?
ジュニア:あーでも、そこまでわかんないですけど、今の若い子を見てたら、すごい礼儀ちゃんとしてるから、「蝶と蝶」という感じが多いような気もしますけど。うちは完全に「蝶と蛾」ですね。俺の時代はそういうのが多かったです。
――ちなみに5月14日(取材日)は母の日なんですけど、せいじさんとのアプローチの違いはありますか?
ジュニア:我々、ありがたいことに身内に仕事を観てもらえるんで。だからまぁ連絡せずとも、今日も生放送やってましたんで、こんな感じかなというふうには思ってくれてるというのはあると思うんで。改めて何かっていうのは、千原家はあんまりないですかね。
――4コマ漫画を描く先生方は多くいらっしゃいますけど、参考にしたり憧れている先生はいますか?
ジュニア:参考にしたなんておこがましくてないですけど。物心ついて一番最初に読んだ4コマ漫画のはコボちゃん。僕はそんな漫画に明るくなかったんですけど、芸人始めて、同期のバッファロー吾郎っていう2人がもうすごい詳しくて。
漫画とか映画をいろいろ教えてもらって、10代後半ぐらいから20代前半ぐらいまでは、すごい読んでたんですけど、そっからまったく読んでなかったんで。
4コマ漫画を全然知らずに、描いている感じですね。何か読みだすと、影響されたり、引っ張られたりする部分もあるかなと思って、読んでないですけど。
でも嬉しいことに僕、コボちゃんの60何巻かの帯の推薦コメント書かせていただいて。もしも俺が60冊出したら、うえだまさし先先生にコメントを描いてもらいたいです(笑)
――4コマの題材っていのは、フィクションと、見かけたおもろい話、どのぐらいの割合でやってらっしゃいますか?
ジュニア:フィクションが6とか7。身辺雑記的なみたいなことが2とか。残り1は、戯言ですね。
――最近身の回りで「これ漫画にしたいな」という面白い話はありますか
ジュニア:文化の面白さというか。昨日、新幹線に乗ってたら、欧米のカップルがいて。奥の窓際の女性がトイレに行こうと立って、そのトイレに行くときに、男性が手の甲にキスしてたんです。これ日本人やっていたら、ボケやで!と。
金髪の方々同士でやられてるから自然やけど、不思議やなーって。そんなことがありました。
――最後に一言ご挨拶をよろしいでしょうか
下手なりに、一生懸命何とか頑張って描かせていただきましたんで、もちろんすべてが面白いわけではないですし、1つ2つや、3つ4つは、何かププッとやっていただけるんじゃないかなと思いますんで。
ぜひ、読んでいただけたらなと思います。ありがとうございました。
会見後のサイン会は老若男女で長蛇の列をつくっていた。
「仙台から来ました」という男性や、「30年以上もファンです!」という女性もおり、わずかな時間をかみしめるようだった。
千原ジュニアの多彩な才能が新たに4コマ漫画として結実した『嗚呼 蝶でありたい』。独自の鋭い視点が、読者に笑いや気づきを与えてくれる本作品を要チェックだ。
【プロフィール】
千原ジュニア
’74年生まれ、京都府出身。NSC大阪校8期生。’89年、兄のせいじと千原兄弟を結成。
現在、レギュラー番組として『にけつッ!!』(読売テレビ)、『千原ジュニアの座王』(関西テレビ)、『千原ジュニアのヘベレケ』(東海テレビ)、『千原ジュニアの愛知あたりまえワールド⭐️〜あなたの街に新仰天〜』(テレビ愛知)、『ABEMA的ニュースショー』(ABEMA)など。
また『千原ジュニアYouTube』『ざっくりYouTube』などでもさまざまな企画を配信中。『週刊SPA!』誌上では直筆4コマ漫画「囚囚囚囚」を連載中
【書誌情報】
『嗚呼 蝶でありたい』(通常版)
ISBN:978-4-594-09381-5 C0095 定価:本体1,400円(税込1,540円)
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4594093817
『嗚呼 蝶でありたい』(NFT特装版)
ISBN:978-4-594-09487-4 C0095 定価:本体1,700円(税込1,870円)
※別添付録:デジタルパネルスタンド引換券1枚
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4594094872
楽天ブックス:https://books.rakuten.co.jp/rb/17496751/
『嗚呼 蝶でありたい』(通常版+Tシャツオーダーカードセット)※amazon限定発売
ISBN:978-4-594-09487-4 C0095 定価:7,000円(税込予価7,700円)
※別添付録: Tシャツオーダーカード 1枚
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4594095186
コントと漫画の違い
『嗚呼 蝶でありたい』というタイトル
一番最初に読んだ4コマは『コボちゃん』
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