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「公明党に対する嫌悪感」を選挙現場で実感…自民党と公明党の“仲違い”が起きた原因

自公ほどの成果が出せていない「野党候補の一本化」

東京12区は、自民党・公明党の選挙協力を象徴する小選挙区のひとつ。東京12区から立候補した公明党前代表の太田昭宏候補に野田聖子議員が駆けつけた(2017年撮影:小川裕夫)

自民党と公明党の候補者調整は、小選挙区で立候補を断念させられた自民党議員がいるなど多少のしこりを残すこともありましたが、自民党と公明党による候補者調整は成功したと言えます。 なぜなら、後に立憲民主党は共闘を呼びかけ、野党候補の一本化を進めました。これは明らかに自公の与党に対抗する手段でしたが、候補者調整は簡単にはいきませんでした。 実際、野党候補の一本化は自公ほどの成果を出せていません。 政党の都合で、立候補者をおろすことは想像以上に難易度の高い作業です。立候補を予定している政治家は、数年前から後援会や政党支部など支持者を回って準備をしているからです。それにも関わらず、「やっぱり立候補しません」と撤回しなければならないわけですから、支持者の信頼を失ってしまいかねません。これは、政治家にとって致命的です。

両者の関係がこじれた「東京28区」

次の衆院選から新設される東京28区に、自民党も公明党も候補者を擁立する考えを表明しました。これでは同じ与党で共倒れになってしまいます。しかし、どちらも候補者の擁立を譲りませんでした。最終的に自民党が候補者を擁立することで決着。公明党は候補者の擁立を断念しました。公明党は顔に泥を塗られた気分になったことでしょう。 東京28区の問題がこじれたことで、両者の関係は悪化。そして、公明党は「東京都の小選挙区から擁立される自民党候補に推薦を出さないことを明言したのです。東京都限定とはいえ、公明党が自民党と選挙協力しないと宣言したわけです。 東京28区の候補者調整が不調に終わったことで自民党と公明党の関係は急速に悪化したわけですが、これは10年以上前から予測できた話でした。
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選挙現場で実感する「公明党に対する嫌悪感」
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フリーランスライター・カメラマン。1977年、静岡市生まれ。行政誌編集者を経てフリーに。首相官邸で実施される首相会見にはフリーランスで唯一のカメラマンとしても参加し、官邸への出入りは10年超。著書に『渋沢栄一と鉄道』(天夢人)などがある Twitter:@ogawahiro

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