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「公明党に対する嫌悪感」を選挙現場で実感…自民党と公明党の“仲違い”が起きた原因

大阪・東京以外にも波及していくのか?

維新と公明党

2020年に実施された大阪都構想の是非を問う住民投票の結果を受けて維新と公明党が揃って会見。左から大阪府の吉村洋文知事、大阪市の松井一郎市長、公明党の佐藤茂樹衆議院議員(2020年撮影:小川裕夫)

とはいえ、政治の駆け引きは単純ではありません。自民党の森山裕選挙対策委員長は「自民党と公明党の関係は揺るがなく、選挙協力をしないのは東京のみ」と説明を繰り返しています。つまり、森山選挙対策委員長は自民党と公明党の協力関係が他道府県で続くことを強調したわけですが、そこには公明党を下手に刺激したくないという思いがあります。 「東京では選挙協力を得られないが、ほかの道府県は友好関係にある」と関係悪化を打ち消して友好関係をPRすることで、少しでも公明党票をつなぎとめることを期待しているのです。 選挙対策委員長という立場を考えれば、いたずらに票を減らすような言動は避けなければなりません。また、少なからず自民党の議員や次の衆院選に立候補を考えている党員に対して公明党票が得られないなどと不安を増大させる発言はできません。 仮に公明党支持者が自民党に投票しなくても、公明党票が対立候補に流れなければ自民党の痛手は最小限で済みます。しかし、森山選挙対策委員長の「選挙協力を得られないのは東京だけ」という説明は、額面通りに受け取ることはできません。 先述したように大阪でも、自民党と公明党の選挙協力は破綻しています。大阪につづき東京でも選挙協力が破綻したわけですから、この動きは少しずつ他府県にも波及していくでしょう。 そのときに何が起きるのか? まだ不透明な部分が多いことは事実ですが、自民党と公明党の関係が大きな転換点を迎えていることは間違いありません。 <文・撮影/小川裕夫>
フリーランスライター・カメラマン。1977年、静岡市生まれ。行政誌編集者を経てフリーに。首相官邸で実施される首相会見にはフリーランスで唯一のカメラマンとしても参加し、官邸への出入りは10年超。著書に『渋沢栄一と鉄道』(天夢人)などがある Twitter:@ogawahiro
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