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「公明党に対する嫌悪感」を選挙現場で実感…自民党と公明党の“仲違い”が起きた原因

協力関係を壊しかねなかった「垂れ幕の文言」

安倍晋三 麻生太郎

秋葉原駅前で実施された2014年の衆院選ラスト演説では、安倍晋三総裁と麻生太郎財務大臣が登壇。選挙カーには、「比例代表も自民党」といった垂れ幕も(2014年撮影:小川裕夫)

自民党支持者は嫌悪感を隠しきれないほど、公明党・創価学会に対して不信感・嫌悪感を抱いているのです。その嫌悪感は、第二次安倍政権以降からあからさまになっていきました。 特に、2014年の衆院選ラスト演説は異様でした。安倍晋三総裁と盟友の麻生太郎財務大臣が登壇した選挙カーには、「比例代表も自民党」という垂れ幕がかかっていたのです。小選挙区で自民党に協力する見返りとして、公明党は自民党支持者から比例票を入れてもらっていたわけですが、この垂れ幕の文言はその協力関係を壊しかねないものでした。 それでも自民党と公明党の選挙協力が威力を発揮しているうちは、そうした自民党支持者の声や垂れ幕の文言は不問にされていました。

「維新との密約」の影響は…

大きな転機になったのは、大阪での公明党の立ち位置が変化したことです。2021年の衆院選で、自民党は大阪府内の19小選挙区で全敗という歴史的大敗を喫しました。比例復活できたのも、13区の宗清皇一候補と19区の谷川とも候補の2名にとどまりました。 大阪では自公の選挙協力はなく、公明党票は期待できません。公明党は日本維新の会と候補者を調整し、公明党候補が出馬した大阪府3区・5区・6区・16区の小選挙区に維新の候補者は擁立されなかったのです。そのため、公明党は4選挙区で候補者を当選させています。 公明党は「2020年の大阪市を廃止し特別区を設置することについての投票、いわゆる大阪都構想を推進する立場を取りました。大阪都構想は維新が一丁目一番地に掲げる政策ですが、公明党は推進する見返りとして「次の衆議院選では公明党候補が出馬する小選挙区に維新が対抗馬を立てない」という密約を交わしていました。 この密約は、維新の松井一郎代表(当時)が自ら暴露して白日の下に晒されましたが、自民党も公明党と維新の密約を薄々感じ取っていたようです。いずれにしても、こうした裏取引をする公明党に対して、自民党議員および支持者が不信感を募らせていたことは言うまでもありません。
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大阪・東京以外にも波及していくのか?
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フリーランスライター・カメラマン。1977年、静岡市生まれ。行政誌編集者を経てフリーに。首相官邸で実施される首相会見にはフリーランスで唯一のカメラマンとしても参加し、官邸への出入りは10年超。著書に『渋沢栄一と鉄道』(天夢人)などがある Twitter:@ogawahiro

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