更新日:2024年07月30日 14:36
仕事

“もう一人のオオタニサン”は「弱小野球部から世界へ」。数奇なキャリアを追う

新天地は「クロアチア」

チームは好成績を残し、翌シーズンも慰留されたが、ビザの関係でドイツを離れることに。そして、いくつかオファーがあった中で新天地に選んだのが、クロアチアのオリンピア・カルロヴァツだった。 「クロアチアは国を挙げてスポーツに力を入れているので、すぐにビザが下りたのが大きかった。ほぼ無給みたいな金額でしたが、アパートも借りてくれるし、スポンサーのレストランで無料で食事ができるという好条件でした。でも、僕は地理や歴史に詳しくないので、最初は『クロアチアってどこ?』って状態でしたけど」

予想よりもはるかにハイレベルだった

大谷尚輝

19年国際大会で盗塁を決める大谷さん(本人提供)

クロアチアのことを何も知らずに飛び込んだが、選択は間違っていなかった。 「野球人口は少ないけど、クロアチア人は身体能力が高いので、予想よりもはるかにハイレベルでした。しかも、カルロヴァツはリーグ最多優勝を誇る強豪で、街の人が熱狂的に応援してくれるんです。イタリアのネットゥーノにとてもよく似た環境でした」 バッティングの技術は年々向上しており、選手としての盛りを迎えていた大谷さんは攻守にわたって活躍。19年シーズンはリーグ優勝に貢献し、クラブチーム対抗の国際大会にも出場して盗塁王を獲得した。 カルロヴァツの人々からも愛され、「休みの日にバーに行くと、『次の試合も打ってくれよ!』って街の人が競うようにご馳走してくれるんです。飲み終わる前から『次は俺のおごりだ』『いや、俺がおごるんだ』って、おごり争いが起こるほどでした」
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自身の「特製カレー」が球場で販売されることに
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1980年東京生まれ。毎日新聞「キャンパる」学生記者、化学工業日報記者などを経てフリーランス。通信社で俳優インタビューを担当するほか、ウェブメディア、週刊誌等に寄稿

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