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“看板だけで2億円”きぬた歯科が至る所に看板を出す理由「実は最強のネットツールだと思う」

 デカデカと写し出された、青色のオペ着に眼鏡をかけたおじさんの顔。「インプラント」「きぬた歯科」というシンプルなコピーの看板。「看板だけで2億円かけている」と話す、「日本一有名な歯科医師」兄弟の真の狙いとは?  きぬた、きぬた、またきぬた――。  首都圏在住者なら誰もが一度は目にする「きぬた歯科」の看板。北は栃木県足利市から、西は三重県伊勢市まで及ぶ看板の総数は340以上。常識をぶち壊す看板戦略を仕掛けているのが、兄のきぬた久和氏(横浜きぬた歯科院長)、弟のきぬた泰和氏(八王子きぬた歯科院長)の2人だ。歯科業界の異端兄弟は何を見据えているのか?   “大日本きぬた連盟代表”を自称し、きぬたの同人誌やグッズを作る看板研究家D.J.マメ氏が、兄弟の費用、儲けなど、その舞台裏に迫った。

インタビューは喧嘩からスタート

エッジ0709――何度もお会いしていますが、ご兄弟そろっては初めてなので興奮しています。 久和:今日もわざわざ愛知県から来たの? 本当に物好きだね。 泰和:一番の支援者だよね。『きぬた歯科看板完全攻略マップ』まで作ってくれて。結構売れているんじゃない? 俺たちは一円ももらってないけど(笑)。 ――客観的にリサーチしているだけなので……。それにしても、ものすごい看板の数です。お兄さんは100か所、弟さんは240か所くらいありますよね。 久和:マメくんはバスの看板とかも数えている? ――野立て看板やビル看板は表裏合わせて1つ、バスは会社ごとに1カウントしています。 久和:バスは何台も走っているじゃない。全部数えてよ! 泰和:兄さんは俺の半分以下のくせに、ずいぶん偉そうだな。 久和:お前こそ少し前は300くらい看板出してたのに、減ってるじゃん。金欠か? 泰和:田舎を減らして、都会で増やしているの。金額は増えているんだよ!  ――早速、喧嘩しないで……。

深謀遠慮の看板戦略。実は最強ネットツール

エッジ0709

きぬた久和氏

――ちなみに看板の年間費用って、どのくらいかかるんですか。 泰和:田舎だと15万~20万円くらい。でも、都会だと300万~400万円はする。看板広告だけで2億円、CMなんかも含めた総額だと3億円かけてる。 久和:うちは1億5000万円くらいかな。看板業界はきぬた兄弟にものすごく感謝しているんじゃないかな(笑)。みんなマネするから、今は全然空きがない状態です。 ――弟さんは八王子から400㎞以上離れた伊勢にも看板を出していますよね。 泰和:伊勢神宮の電柱看板ね。もともと赤福の看板で埋め尽くされていたんだけど、看板マニアとして見過ごせなくてね(笑)。 久和:そこに、一石を投じたわけだ。
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看板はSEO対策よりもはるかに効果的
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1980年東京生まれ。毎日新聞「キャンパる」学生記者、化学工業日報記者などを経てフリーランス。通信社で俳優インタビューを担当するほか、ウェブメディア、週刊誌等に寄稿

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