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日本人の靴選びは「ユルすぎ」「大きすぎ」で大失敗。ケガや事故の元にも

こんにちは、シューフィッターこまつです。靴の設計、リペア、フィッティングの経験と知識を生かし、革靴からスニーカーまで、知られざる靴のイロハをみなさまにお伝えしていこうと思います。 筆者が本業の靴のフィッティングでいちばん気をつけていることは、「この靴はユルすぎないか?」の1点につきます。 きつくて痛い靴はその場ですぐに判りますが、「ユルすぎる靴」「大きすぎる靴」は遅効性の毒のようなもので、その場はよくてもあとから靴ずれ、爪の食い込み、腰痛などあらゆる問題を引き起こします。思わぬ形で倍返しに遭うので、実は非常に怖いのです。 疲れた人や、老化で足をひきずっている方の足元を見ると、まちがいなく1~2サイズも大きい靴を履いています。脱ぎ履きは簡単でしょうが、そもそもきちんと歩けないので、わざわざ足に重りをつけて歩いているようなものです。姿勢も悪くなるし靴も足も腰も壊れてしまいます。この靴は、ジャストなのか、ユルすぎるのか……ここで妥協しないのが、靴選びの基本。大げさではなく天国と地獄の境目と言っても過言ではありません。

靴選びは、「考えるな、感じろ」

靴のサイズを見極めるのは意外と簡単で、サイズを迷っている二足があるとしましょう。「目をつぶって履く」。ただこれだけです。 この瞬間に「微妙だけどこっちが気持ちいいかも」と思ったら、そちらが99%正解。足は超優秀なセンサーなので、違和感があれば足が教えてくれます。幅だけではなく、甲の高さ、カカトの食い込み具合、全体の圧迫感、言葉にはならない無数のデータが「なんとなく」という情報として入ってくるはずです。 ブルース・リーの名言「考えるな、感じろ」とは、靴のフィッティングのために生まれた言葉ではないかと、いつも思います。ジャストサイズの靴は、予想よりもややタイトで、数歩歩いてみてもカカトはついてくるけど食い込んではこない。全体的に圧迫感は少しあるけれど「面で押されて、点であたってこない」という特徴があります。 他方、ユルい靴は、履いた瞬間は痛くなくても、その場で数歩歩くとすぐに化けの顔がはがれます。カカトがついてこない、靴の中で足が浮いている気がする、なんとなく靴ずれを起こしそう……この「なんとなく」とか「気がする」という足からのサインは本当によく当たります。デジタルで測るより、あるいはメジャーで測るよりも、自分の足の感覚のほうがはるかに優秀なのです。 そもそも「立ってじっとしている」のと「歩く」のとでは、荷重や筋肉の収縮によって足のあちこちのサイズが変わっていて、メジャーで測りきれるものではありません。シューフィッターがサイズを提案するのは、あくまでご本人が明らかに間違えているときや、迷いすぎてわからなくなっているときのサポート役にすぎません。歩いたときの足のたわみ、締まり、屈曲の位置、左右の差などは自分の足の感覚が一番正確でしょう。 腕のいいシューフィッターは、実はお客様の自己申告のサイズを半分は聞き流しています。いつ、どこでどのように測ったかというデータはあてになりませんし、ほとんどの申告サイズは「今(もしくは過去)一番しっくりきている靴のサイズ」だからです。足の長さに対しての幅を示すEとか3Eとかの換算表はたしかにあるのですが、これはあくまで目安です。
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シューフィッターのテキストより。筆者私物

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日本人の「幅広甲高」信仰は誤り
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