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日本の“トイレ”で外国人観光客が感動。お土産に“便座”を爆買い「日本のトイレは、もはや文化だった」

インバウンド需要に沸いている日本。観光地はもちろん、大きな都市ではどこに行っても外国人の姿が目に入ってくる。だが日本に住み、インフレ&物価高の影響を大きく受けている日本人からすると「日本の何がそんなに良いのか?」と疑問に思ってしまうこともしばしば。 そこで、すこし日本にゆかりのある外国人に「日本の印象」を聞くことで、我々が忘れかけていた日本の素晴らしさに改めて気づくことができるかもしれない。 今回は海外旅行の楽しみの一つである「お土産」に関する話だ。
家族旅行

今回話を聞いたコニーさんとダンナさん。そして30代の息子たちとの家族旅行

浴衣や甚平、かんざしや扇子などの「日本の伝統品」以外にも、化粧品から洋菓子、百均グッズまで様々なものが選ばれる「日本土産」。その中でも意外なほど根強い人気を誇っているのが「温水洗浄便座」だ。歌手のマドンナや俳優のレオナルド・ディカプリオ、ウィル・スミスも来日した際に感激したものの1つとして挙げていたし、ほかにも購入して帰った大物外国人タレントも多いと言われている。 その流れが今、一般の観光客にも広がっている。今回インタビューに答えてくれたオーストリア人もその一人だ。
生け花

パーキングエリアのトイレに飾られていた生け花

「ねえ、あなた、便座を2台買って帰るわ!」 そう言ったのは、オーストリアのウィーンから夫と二人の息子の家族4人で日本へ旅行に訪れたコニーさんだった。夫のロベルトは、一瞬「妻が何かに取り憑かれたのでは」と本気で心配した。しかしよくよく聞いてみると、日本ではあれこれ驚きや感激の連続だったが、最も驚かされたのが「トイレ」だというのだ。

清潔で、心まで洗われる——日本のトイレ初体験

「日本のトイレに入った瞬間、ふっと幸せな気分になるのを感じたの」 コニーさんは日本到着の日、羽田空港で最初の“出合い”を果たした。まず目を引いたのは、どこもトイレが無料で使えること。そして、驚くほど清潔であることだ。 ヨーロッパ、特にコニーさんの住むウィーンでは、公共トイレの多くが有料で、小銭がないと使えない場面も多い。もちろん設備は整っているが、場所によっては掃除の頻度が少なく、においが気になることもあるという。 その点、日本のトイレはいつでも清潔で、無料で誰もが気持ちよく使えるという点に大きな驚きがあった。「これはトイレというより“パブリックスペース”と考えられているのね」と、コニーさんは日本の気配りの行き届いた空間にとても心を打たれた様子だった。

使用者にやさしい設備が、当たり前のようにある不思議

ミニ便座

これは便利!チャイルドシートにミニ便座

さらに感動したのが、子どもや高齢者に向けた配慮だった。トイレの個室内にはおむつ替え台が設置されており、ベビーカーでも入りやすい広さが確保されているところも多い。パーキングエリアやデパートなどでは授乳スペースも完備されていて、コニーさんは「これは小さな子を持つ親にとって天国のようだわ」と目を輝かせて話してくれた。 日本では当たり前になっているこれらの設備は、ウィーンでは高級デパートなどごく一部の施設に限られているという。
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決定打は“温水洗浄便座”
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ウィーン生まれ、演奏家の両親のもと東京で育つ。慶應義塾大学文学部卒業。1859年設立されたコンコルディアプレスクラブウィーン会員。英国・オーストリア・インドに滞在し、欧州在住歴は40年以上。『地球の歩き方』ほか各メディアに寄稿。2018年、オーストリア政府より「功労黄金名誉勲章」受勲。著書に『アウガルテン宮殿への道』(ショパン、2002)など。世界100か国以上の現地日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」会員。

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