仕事

密室でいじめを繰り返す、入社3年目の美人社員。入社1か月でやめた後輩が明かす“異様な正体”

わずか1か月で辞めた理由は?

 バカバカしくなった岩井は、研修の窓口である総務課長に一連のいじめを報告した。課長は驚いたが、岩井にも問題があるかのような返事をした。その後、課長は岩井の報告をそのまま女性に伝えたようで、女性から岩井へのいじめは一段とエスカレートした。所長や副所長、社員たちは見てみぬふりだった。  岩井は転職先は決まっていないが、5月に辞めた。その倉庫への配属が正式に決まったからだ。「また、あの女と組むことになる。耐えられない」。  わずか1か月で辞めたことで「トンデモ」と社内では言われている。3年目の女性は、何ら咎められることがない。今もブラザー・シスター制度の担当者として後輩を指導する。岩井の前に、ここ2年で3人の新入社員がわずか数か月で辞めている。いずれも、この女性がシスターだった。

取材:制度の運用の仕方に問題

大津章敬

社会保険労務士法人名南経営の代表社員である大津章敬さん

 大手士業系コンサルティングファーム・名南経営コンサルティング代表取締役副社長で、社会保険労務士法人名南経営の代表社員である大津章敬さんに取材を試みた。  大津氏は「ブラザー・シスター制度やメンター制度は新卒、中途を問わず、入社した人の早期離職を防ぎ、定着させるために一定の効果があります」と言いつつも、今回は運用の仕方に問題があったと指摘する。 「メンター制度がうまく機能している企業では、他部署の先輩社員をメンターとして選任し、実際の業務指導をする先輩社員と役割を分けていることが多いように感じます。メンターは新入社員が会社生活になじめるようなサポートや、場合によってはプライベートのアドバイスに徹することになります。  その結果、2人の先輩社員が協力して、後輩を仕事面・生活面の両方からサポートしていくのです。今回もそのように役割を分けた運用をしたほうがよかったのではないでしょうか。それは、結果的に2人の先輩相互のけん制にもなります」
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パワハラへの対処を間違った?
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ジャーナリスト。1967年、岐阜県大垣市生まれ。2006年より、フリー。主に企業などの人事や労務、労働問題を中心に取材、執筆。著書に『悶える職場』(光文社)、『封印された震災死』(世界文化社)、『震災死』『あの日、負け組社員になった…』(ダイヤモンド社)など多数
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