仕事

密室でいじめを繰り返す、入社3年目の美人社員。入社1か月でやめた後輩が明かす“異様な正体”

パワハラ社員をけん制する仕組み

 大津氏は「いじめやパワハラをする社員をけん制する仕組みをつくったほうがよい」と語る。 「現在、法律ではハラスメント防止措置の一環として、ハラスメントの相談窓口の設置が求められていますが、それも加害者である社員をけん制する仕組みになります。退職者へのヒアリングもけん制になるはずです。会社として退職者に聞き取りをすると『パワハラを受けた』と言われるかもしれないと思い、そのような行動を止めるかもしれません。  ハラスメントは、結局は行動なのです。行動を確認し、事実ならば速やかに処置をするのが、解決のために最も基本的で、大切なアプローチです。“あの人のこういう性格がダメだ”ではなく、“あの人のこの行動に問題がある”と捉えるようにしたほうがよいでしょう。  これは、部下への指導にも言えます。『あなたの性格はこうだから、~なのだ』と部下の人格について指摘することはハラスメントとの指摘を受けやすく問題です。『あなたのこの言動がこういう具合に問題なのだ』とその行動を指摘すべきです」

取材を終えて:「私が会社員の頃に見た光景」

パワハラ 上司から好印象の社員が実は見えないところで、いじめを執ように繰り返す。これは、私が会社員の頃によく見た光景だ。事例のような総務課長がその会社にもいて、いじめに気がつかない。それに味をしめて、いじめが過激になる。  小中学校でも見かけるのではないだろうか。いじめをする生徒がいるが、教師はそれがわからない。わかっていても、厳しくは指導しない。結局、抗議の声が小さい、もしくは出さないおとなしい生徒が狙われ続ける。  職場に防犯カメラを設ける企業がある。その目的はさまざまだろうが、私はいじめやパワハラを防ぐためにも必要だと思う。とはいえ、男性の上司らは、きれいで、自分よりも職位やキャリアが上の人には素直な女性社員には厳しくは言えないのかもしれない。見えないいじめへの対策はつくづく難しい。 <取材・文/吉田典史> 【大津章敬(おおつあきのり)】 1994年から社会保険労務士として中小企業から大企業まで幅広く、人事労務のコンサルティングに関わる。専門は、企業の人事制度整備・ワークルール策定など人事労務環境整備。全国での講演や執筆を積極的に行い、著書に『中小企業の「人事評価・賃金制度」つくり方・見直し方』(日本実業出版社)など。全国社会保険労務士会連合会常任理事
ジャーナリスト。1967年、岐阜県大垣市生まれ。2006年より、フリー。主に企業などの人事や労務、労働問題を中心に取材、執筆。著書に『悶える職場』(光文社)、『封印された震災死』(世界文化社)、『震災死』『あの日、負け組社員になった…』(ダイヤモンド社)など多数
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