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子供が乗った自転車が歩行者と衝突、“9266万円の賠償事例”も…親が子に伝えたい「民法」

スマホを見ながら自転車に乗り、相手にケガをさせてしまった……

自転車の事故

写真はイメージです

 先生から、隣のクラスの生徒が自転車で塾に向かっていたときに、おばあさんにぶつかって大ケガをさせてしまったという報告がありました。おばあさんが歩道のゴミを拾っていたところに自転車で衝突したようです。  問題は、本人がスマートフォンを片手に〝ながら運転〟をしていて前を見ていなかったこと。自分でもやってしまいそうなので気をつけなきゃと思いますが、このような事故を起こしてしまったら、どうなりますか?

回答「明らかな『不法行為』です。治療費などを払わなければいけません」

 わざとでなくても、自分の不注意で他人にケガをさせてしまった場合は「不法行為」となり、これによって生じた損害に対してお金を支払わなければなりません。ここでいう「不注意」とは、被害が起こると予想でき、それを避けようと思えば避けることができたのに、それをしなかったことをいいます。  今回のケースは、明らかに「不注意」によって生じたことなので、おばあさんのケガの治療費などは支払わなければいけません。ほかに「慰謝料」といって、心の傷に対する支払い責任が発生することもあります。  自転車に乗る際は、前方をよく確認し、スピードを落とすなり、歩道では降りて自転車を押すことが求められます。スマートフォンを見ながら、あるいは操作しながら運転することは、わき見運転となるばかりか、ブレーキをすぐにかけられない状態を自らつくりだしたともいえます。  交通ルールを守っていない危険な運転とみなされる可能性が非常に高く、民法上の責任だけでなく刑法上の責任を問われることもあります。相手の生命をおびやかす重大な事故につながる可能性があることを、忘れてはいけませんね。
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自転車だからって軽く考えていませんか?
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司法書士、合気道指導者、坂本龍馬研究家。1983年、北九州市出身。家の前に司法書士の方が住んでいたことがきっかけで、高校生のとき司法書士を職業にすることを決意。関西学院大学法学部を卒業後、司法書士試験に合格。その後、司法書士のぞみ総合事務所を開設し、以後さまざまな法律の仕事に携わる。小学2年生のときに合気道を始める。いつかは自分の道場を持ちたいと漠然と考えていたところ、師匠のすすめもあり31歳のとき自分の道場を開設。現在、幼稚園児から大学生、社会人まで幅広い年齢層に、合気道を指導している(公益財団法人合気会四段)。NHKで放送されたテレビアニメ『お~い!竜馬』を見て、大人になっても夢を持って生きる坂本龍馬に感銘を受ける。以降、龍馬の追っかけとなり、30歳のときに地元に龍馬会を創設。龍馬の行動力や先見性を知ってもらう活動を続けている。著書に『図解でわかる改正民法・不動産登記法の基本』(日本実業出版社)、『財産消滅』(ポプラ社)、『坂本龍馬 志の貫き方』(カンゼン)ほか多数。ラジオ番組に「北九州社中」(FMKITAQ)。

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