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24時間テレビ「余命半年」の父親が家族と北アルプス登山に挑戦。娘と一緒に見たかった光景

家族への負担や登頂へのプレッシャーは「きつかった」

加治川健司「初日を越えられれば、あとは大丈夫」と考えていた加治川さんですが、一方、登頂できるかどうかについては、ずっとプレッシャーは感じ続けていたそうです。また、心配だったのは、登山初心者の家族への負担について。 「今回登ったのは、いわゆる北アルプスの中での初心者コースなんですが、自分自身も経験者ではありますが、やはり数十年ぶりに登ってみると、結構きつい。『もう現役じゃないんだな』と痛感しました(笑)。そんな中、奥さんや娘は大丈夫だろうかとずっと不安だったのですが、彼女たちは文句も言わずにつきあってくれた。本当にありがたかったです」

娘と一緒に自然や動物と触れ合えたのは、良い思い出に

 ご自身の体調とも向き合いながら、さまざまなハプニングもある登山旅となったものの、「結果的には本当に良い思い出になった」と加治川さんは続けます。 「自分が病気になって、『あと半年』と言う余命宣告を受けて……。この数年間は本当にいろんなことがありました。そんな中、正直、人生でもう一度長野の山に登れる機会があるなんて、思ってもいませんでした。山小屋で働いていた頃の同僚に偶然遭遇できたし、娘が見たがっていたきれいな花やライチョウなどの珍しい動物なども見ることができた。家族と一緒に登れて、本当に幸せでした」  加治川さんは無事に登山を達成できたのか? それは『24時間テレビ』内で放送されます(27日午前10時30分放送予定)。 加治川健司(かじかわ・けんじ) 1969年、東京都生まれ。1987年に高校卒業後に自転車で日本一周を達成する。1988年には、カナダ・ユーコン川でカヌーツーリング、チリでパタゴニアトレッキングなどを行うなど、世界での生活を送る。帰国後の1990年に就職をするも、1998年に島根県に移住して林業家となる。2001年に結婚、2012年5月に長女が生まれる。2019年6月、結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫のステージIVが発覚。2回の抗がん剤治療を行うが、がんが再発。その後、悩みぬいた末に治療をしない決断をする。2022年2月、医師から「余命半年」の宣告を受ける。同月、娘に自分の想いを残すために、YouTube「ジャムミント」を始める。 取材・文/藤村はるな 写真/加治川健司氏
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お父さんは、君のことが好きだったよ。「余命半年」の父が娘へ残すことば

愛娘に伝えておきたい
“いのちのメッセージ”

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