仕事

一流大卒のエリートが3年で退職したワケ。「電話のかけ方から表情まで“管理”されて…」

 大手士業系コンサルティングファーム・名南経営コンサルティング代表取締役副社長で、社会保険労務士法人名南経営の代表社員である大津章敬さんに取材を試みた(以下は、大津氏による取材への回答)。

1.成長段階に応じて指導の仕方を変えていくべき

 この部長は本質的には部下を信用していないように見えます。  自らがそれぞれの部員に直接指示をしたほうが、早く確実に成果が出ると考えているのではないでしょうか。部下の様々な仕事の状況を詳細に知っておきたいといった性格の影響もあるのかもしれませんが、部下を信用していないことが根本的な理由と私は思います。    仮に私がこの方の部下ならば、早いうちにきっと退職していたでしょうね。20代の頃から上司などから必要以上に指示をされるのが嫌いでした。ですから30代で管理職になった後も、役員の現在も基本的には部下にマイクロマネジメントをしていません。  ただし、新卒、中途を問わず、経験の浅いうちは上司がある程度は細かいところまで指示をしてその状況や成果を見つつ、対処していくことは必要です。部下との面談もベテランの社員よりは増やし、密にするべきでしょう。大切なのは成長段階に応じて指導の仕方を変えていくことですが、管理職にとってこれは難しいのです。

ストレスでメンタルの問題が生じる可能性も

大津章敬

社会保険労務士法人名南経営の代表社員である大津章敬さん

 あるいは、相当に重要な仕事や大きなトラブルになりうる仕事もあります。こういう時には、状況に応じて管理職がその担当の部下に詳細な指示をしたり、部下より前面に出るべきです。  事例を読む限りでは、この部長は30代後半の部下にまでマイクロマネジメントをしているようですね。これでは部員たちが自ら考え、仕事をする力を身につけることが難しくなります。やる気を失い、ストレスとなり、メンタルの問題が生じる場合もあるかもしれません。  この企業は社員数からして大企業のような大規模な人事異動は難しいでしょうから、上司はなかなか変わらないかもしれません。その意味では、男性が見切りをつけて退職したことは止むを得ないようには思います。
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マイクロマネジメントをする上司は優秀?
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ジャーナリスト。1967年、岐阜県大垣市生まれ。2006年より、フリー。主に企業などの人事や労務、労働問題を中心に取材、執筆。著書に『悶える職場』(光文社)、『封印された震災死』(世界文化社)、『震災死』『あの日、負け組社員になった…』(ダイヤモンド社)など多数
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