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特攻服を着た暴走族が渋谷に集結。「レディース総長と副総長」のみの音楽ユニットデビュー秘話

一触即発? メンバーたちの初顔合わせ

スタジオ撮影

スタジオ撮影の様子(写真は筆者提供)

 メンバー全員が各地方では顔と名前が知られている人物ばかりなので、当然そんな彼女たちがグループを結成するとなったらヤバいことになるかも……と、初顔合わせのときには、喧嘩の懸念も含めてかなり緊張しましたね。  顔合わせの結果としては、最初の1時間ぐらいはお互いに距離を置いていたのですが、メンバーの1人が「あんた〇〇の〇〇でしょ? いつもティーンズロードで見てたよ!」的な会話を発した途端、「総長あるある」的な話で盛り上がり、打ち合わせが終わる頃には「仲良し5人組」になっていたのです。  いくらレディース総長とはいえ、まだ10代の女の子たち。話が合えば、すぐに打ち解けられるんだな~とホッとした記憶があります。

禁止事項だらけでも“せっかくのチャンスを逃したくない”

鬼風刃

「鬼風刃」のジャケット写真

 こうして結成したヤンキーガールズユニット名が「鬼風刃」(きふうじん)です。  “鬼のように風を刃って走る”という意味らしいのですが、当初ユニット名を本人たちで決めるはずだったのですが、それぞれの主張が強すぎてまとまらず……結局はレコード会社の人が決めたそうです(笑)。  そして、華々しく芸能界デビュー! しかし、そこからが大変です。  芸能活動をするわけですから、今までのように喧嘩するなど、好き勝手な行動はできなくなります。レコード会社の偉い方々も彼女たちを抑え込むのは並大抵ではなかったと思います。タバコやシンナー禁止などの法律的なNG事項はもちろんですが、テレビの生放送で「放送禁止用語は絶対使わない」などの決まりもあったそうです。
かおり

元レディース総長・かおりさんの現在の姿(撮影/藤井厚年)

 前述のかおりさんは当時のことをこう言います。 「レコード会社から言われた禁止事項をぜんぶ守るのは、私たちに『死ね』って言ってるのと同じですよ(笑)。でも、せっかくのチャンスを逃したくないって思いで頑張りましたけどね。レディース総長としてデビューするのにヤバいことをぜんぶ禁止されたら、たんなるコスプレアイドルみたいになっちゃうよねって、メンバーとも話していましたよ」  確かに本物の暴走族をデビューさせるというのがコンセプトなわけですから、当時の彼女たちが大人の事情や矛盾に対して疑問を持つのは当然です。  やりたい放題に暴れてきた彼女たちにとっては、いきなり優等生みたいにふるまうことを求められても難しかったでしょう。ましてや本業がタレントというわけではないので、それぞれの地元から芸能活動がある時にだけ東京へ来ていましたので……。  実際、生放送に出演した際には番組MCのタレントさんや出演者の方に大きな声で「あいつ気に入らね~」とか「テメ~帰れよ!」と言ったり……テレビのスタッフや関係者の方々は心臓が止まる思いだったはずです。
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渋谷に特攻服のヤンキーが集合
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伝説のレディース暴走族雑誌『ティーンズロード』をはじめ、改造車だけを扱うクルマ雑誌『VIP club』や特攻服カタログ『BAMBO』、渋谷系ファッション雑誌『MEN’S KNUCKLE』など、数々の不良系雑誌の編集長を務めて社会現象を起こす。現在は、大洋図書発行の実話誌『実話ナックルズ』のYouTubeチャンネル「ナックルズTV」や、ギャル男雑誌『men’s egg』をWebで復活させたYouTubeチャンネル「men’s egg 公式」のプロデューサーとして活躍中。

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