エンタメ

特攻服を着た暴走族が渋谷に集結。「レディース総長と副総長」のみの音楽ユニットデビュー秘話

“特攻服に族車”で渋谷のライブハウスまで応援に来るひとたち

ライブの様子

ライブの様子(写真は、筆者提供)

 今考えると、こんなプロジェクトをやろうと言った某レコード会社の決断には脱帽しますが、デビュー後、初のワンマンライブの時もドキドキでした。渋谷の有名ライブハウスまでやってきて、この人たちを応援するのは、メンバーの地元の暴走族がほとんどです。渋谷まで特攻服を着て族車に乗ってくる人たちもチラホラ……。  何も起こらないわけがありません。  しかし、予想に反してライブに来てくれたお客さんたちは何も問題を起こすこともなく、ライブは大盛況で終わりました。やはり“仲間の晴れ舞台を台無しにしたくない”という気持ちが強かったのかもしれません。彼らの統率力には感心しました。  その後「鬼風刃」は2年間の芸能活動で2枚のシングルと1枚のアルバムを発売し、引退しました。彼女たちにとっては初めての大人の社会でしたが、良い経験になったことは間違いないと思います。  私は現在も彼女たちと連絡を取り続けていますが、全員が主体性をもち、社会人としてしっかりと生きております。  令和時代にテレビやメジャーシーンでこんな無謀なプロジェクトをやることは不可能だと思いますが、良い意味であの頃は大人も子どももチャレンジできた時代だったと思います。  誤解を恐れずに言えば「コンプライアンスだらけの世の中では良くも悪くも何も生まれない」と思ってしまうのは私だけでしょうか。 <文/倉科典仁(大洋図書)>
伝説のレディース暴走族雑誌『ティーンズロード』をはじめ、改造車だけを扱うクルマ雑誌『VIP club』や特攻服カタログ『BAMBO』、渋谷系ファッション雑誌『MEN’S KNUCKLE』など、数々の不良系雑誌の編集長を務めて社会現象を起こす。現在は、大洋図書発行の実話誌『実話ナックルズ』のYouTubeチャンネル「ナックルズTV」や、ギャル男雑誌『men’s egg』をWebで復活させたYouTubeチャンネル「men’s egg 公式」のプロデューサーとして活躍中。
1
2
3
おすすめ記事
ハッシュタグ