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三井不動産、JICA、外務省出身の「30代ハイスペ女子」がスリランカで起業。“ルッキズム”と闘う理由

ゴミ山崩落事故現場を目にした経験

ケルナ――kelluna.のフィットネスウェアでは廃材を活用されているそうですが、廃材を使おうと思った理由は? 前川:前職でスリランカのゴミや廃棄物問題に関わった際、リサイクルやリユースの仕組みが整っておらず、焼却施設も十分でないため、ゴミが山のように積み重なっていることを知りました。  2017年には、高さ90mまで積み上がったゴミの山が崩落する事故が起こり、死者や負傷者が出ました。当時、軍の関係者とともに現場を訪れ、周囲の荒れ果てた家や残された子どものオモチャを目にして、大きな衝撃を受けたんです。「この場所に子どもたちが住んでいて、ゴミで命を落としたんだ……」と思うと心が痛みました。  そのような経験から、新しい生地を仕入れて商品を作ってゴミにつながるモノを増やすのではなく、捨てられた廃材を私たちが活用することで、ゴミ処理場の問題に少しでも貢献できたらと思っています。

生きづらさ対策として「自分の取扱説明書」

ケルナ――いつも前向きに見えますが、悩んだり落ち込んだりすることはありますか。 前川:もちろん、ありますよ。ただ、生きやすさにつながるツールとして「自分の取扱説明書」を作成し、都度アップデートするようにしています。例えば私は、かつてはやせるために運動していましたが、今では心を整えるためにランニングして、大会や練習で良いタイムが出せたら、自分を褒めています。  また、推しのアニメキャラクターのトレーナーを着たり、痛ネイルをするなどファッションを通じて自分のテンションを上げています。「自分の取扱説明書」では、他人による評価ではなく、自分軸で中身を作ることが大事です。それを持っていることが、落ち込んだ時に、気分が跳ね上がるバネになるように思います。  今や、SNSなどで色んな人から評価され、誰しもが落ち込みやすい時代です。何が原因かわからないけど心が病んでしったり、いつの間にか自分に厳しくなってしまったり。そんな負の循環にハマらないためにも、「自分の取扱説明書」を作っておくとよいのではないでしょうか。
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30代未婚で「卵子凍結」を決意した理由
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大阪府出身。外資系金融機関で広報業務に従事した後に、フリーのライター・編集者として独立。マネー分野を得意としながらも、ライフやエンタメなど幅広く執筆中。ファイナンシャルプランナー(AFP)。X(旧Twitter):@COstyle

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