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三井不動産、JICA、外務省出身の「30代ハイスペ女子」がスリランカで起業。“ルッキズム”と闘う理由

30代未婚で「卵子凍結」を決意した理由

――卵子凍結の体験談も発信されていますが、卵子凍結も「生きやすさ」を考えた上で決断されたことでしょうか。 前川:私自身、30代になってから頻繁に「結婚しないの?」「子どもはいつ?」と聞かれるようになりました。そんな中、「今後の人生をどうしたいか」と考えると、結婚にはこだわらないけれど、子ども産む選択肢は持っておきたい。とはいえ、海外を行き来する仕事をしていることもあり、今すぐ妊活ができる状況ではないので、卵子凍結を決意しました。  未婚の私にとっての卵子凍結は、既婚者の不妊治療の過程における体外受精と異なることが多く、非常に情報が少なかったんです。幸い、私には同じく未婚の立場で卵子凍結を経験した友人がいたので、彼女にわからないことを聞くことができたのですが……。情報がなくて悩んでいる女性も多いだろうと思い、自身の体験談を発信しました。 ――卵子凍結をするにあたって、どのように心の準備をされましたか。 前川:私は凍結した卵子を一緒に使いたい相手が見つからない場合や、相手ができた場合でもその人の精子とうまく受精しない場合などを考慮した上で、卵子凍結することを決断しました。なので、たとえ最終的に見合う結果に結びつかなかったとしても、後悔しないと思います。

生きづらさの背景にある「同調圧力」

ケルナ――最後に、日本社会で生きづらさを感じている方々にメッセージをいただけますか。 前川:私はルッキズムや「であるべき論」の背後にあるのは同調圧力であると考えています。その圧力を自力で排除することはできません。でも、自分の半径5m以内だけでも生きやすい環境にすることで、幸福度は高まると思うんです。もし身近なところに自分を傷つけるような人がいるのであれば距離を置くなど、心地よい環境を整えることが護身術になるのではないでしょうか。  どんなに「小さな声」でも、必ず届くところには届くし、一人ひとりがそれぞれの思いを発信することで大きな変化をもたらすことができると信じています。私も微力ながら、誰もがより笑顔になれる社会を目指して、これからも「セルフラブ」を発信し続けていきたいと思います。 <取材・文・撮影/秋山志緒> 【前川裕奈】 慶應義塾大学法学部卒。三井不動産に勤務後、早稲田大学大学院アジア太平洋研究科にて国際関係学の修士号を取得。 独立行政法人JICAでの仕事を通してスリランカに出会う。後に外務省の専門調査員としてスリランカに駐在しながら、2019年8月にフィットネスウェアブランド「kelluna.」を起業、代表に就任。著書に『そのカワイイは誰のため? ルッキズムをやっつけたくてスリランカで起業した話』(イカロス出版)。
大阪府出身。外資系金融機関で広報業務に従事した後に、フリーのライター・編集者として独立。マネー分野を得意としながらも、ライフやエンタメなど幅広く執筆中。ファイナンシャルプランナー(AFP)。X(旧Twitter):@COstyle
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