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谷村新司さんが「大衆から愛され続けた要因」。“孤独”を歌い続けた男の「偉大な功績」を振り返る

「孤独」を歌い続けた谷村新司

谷村新司さん ビニ本の流行当初、その文化は関西にはまだ上陸しておらず、谷村が東京に来た時、友人が新宿のビニ本ショップに連れていってくれた。ビニ本に囲まれた部屋に通された谷村は「もう天国のように思えて、大興奮した」そうである。  その様子に店長は感動。2人はすぐに打ち解け友達になった。その後谷村が店に通っていると、店番を任されるほどになったという。すると次第に売れ筋がわかるようになり、ついには仕入れの相談まで受けるようになったそうだ。そして売れ残りを「持ってってくれ」と言われて、引き取っているうちに、自宅に5千冊あまりも溜まってしまったとのこと。 『昴』も『いい日旅立ち』も、愛情を与えてくれた人との永遠の別れに際して、悲しみながらも強く生きることを決意する歌に思える。思えば『遠くで汽笛を聞きながら』など、谷村新司の歌詞は「孤独」が大きなテーマとなっている。「孤独」を歌った男がビニ本収集家であるなんて、なんて辻褄の合う話だろう。 「ビニ本」とともに「孤独」の大切さも忘れさられようとしているかにみえる現代。夢を叶えるなら「ひとりでする」しかない。今一度、チンペイの歌を口ずさんで、人生に立ち向かおうと思う。
1968年生まれ。構成作家。『電気グルーヴのオールナイトニッポン』をはじめ『ピエール瀧のしょんないTV』などを担当。週刊SPA!にて読者投稿コーナー『バカはサイレンで泣く』、KAMINOGEにて『自己投影観戦記~できれば強くなりたかった~』を連載中。ツイッター @mo_shiina
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