更新日:2023年11月16日 03:54
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「包丁で心臓を…」小4で“人生に絶望した”20代女性が両親から目を離さない理由

小4で「包丁で心臓を突き刺そうとした」

「私は小学校4年生のころ、自殺を企図します。包丁で心臓を突き刺そうとしたのです。結局、胸に突き立てた包丁で切り傷を作っただけに終わりましたが、当時の私は明確に絶望を感じていました。それは、助けてくれない社会に対しての絶望だったと思います。  当時、私は覚えたてのアルファベットを検索エンジンに打ち込み、今の自分に起きていることが何なのかを知ろうとしました。そして、それが虐待なのだと知りました。  同時に、大人になるまでには自分が生きてきた年数以上の年月を耐えなければならないこと、そして社会がそのSOSを受け止めてくれないことを呪いました。これまで自分に関心を抱いていた父から見捨てられたと感じたことも、もしかすると自殺企図と無関係ではないかもしれません

両親だけでなく「社会への不信感」も募る

 内山田氏のSOSは、たとえばこんな形で発信されていた。 「学校のパソコンの履歴に残るように、自殺や虐待を示唆するワードを検索していました。あるとき教員室に呼ばれたのですが、『あなたは自宅にパソコンがあるのだから、私的利用はいけません』と言われるだけでした。  あるいは、高校生のころには級友が自殺し、スクールカウンセラーが緊急支援に訪れたことがありました。スクールカウンセラーへの相談を申し出ましたが、養護教諭から『あなたに相談は必要ない。勝手なことをしたら保護者に即電話をするから』と止められました」  社会に対して不信感を抱けば、両親に対しての期待など毛頭もたなくなる。内山田氏は高校生のころ、生まれつきの疾患のため、入院と手術を余儀なくされた。そこでも両親によるいざこざが引き起こされたが、「一切なんとも思わなかった」という。 「生命に影響を及ぼしかねない疾患のため、手術を行うことになりました。未成年ですので両親に対する医師の説明が必須なわけですが、まずその説明の日に父と母どちらの車で行くのかということで揉めました。自分の車で行きたかった父に対して、私は芳香剤の匂いなどがきついため拒絶し、それを不服とする父がボイコットしたのです。  母は医師に『夫は具合が悪くて』などと説明したようですが、病院側は納得しませんでした。結局、自分の車で来た父親は説明が終わったあと、『下半身麻痺の可能性が捨てきれないから俺は手術に反対だけど、麻痺してもいいならすれば?』みたいな投げやりな言葉をかけてきました。母も本質は同様で、両親は私のことを親身に考えることはなく、自己責任を当然と考えているようでした」
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「両親に謝罪してほしい」思いは微塵もない
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ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki

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