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「安すぎる」「銀行振込のみ」は疑うべき…ネット通販詐欺に騙される人の特徴

ヤフオクやメルカリの商品画像が盗用される理由

これまで、多くのEC会社のコンサルティングを手掛けてきた筆者の分析によると、こうした詐欺ECサイトは容易に制作し、公開することが可能だ。 具体的には、「スクレイピング」や「クローリング」という手法を使い、ヤフオクやメルカリから商品写真やカタログデータを引き抜き、そのままサイトに反映するだけで数日もあれば完成してしまう。 なぜヤフオクやメルカリの画像や商品紹介ページが盗用されるのか。これには明白な理由がある。 楽天やAmazonに出店しているメーカーの画像やテキスト情報を使っていることがバレた場合、メーカーからも「ニセモノに注意!」という忠告がすぐに出てしまう。つまり、楽天やAmazonの商品情報を登用するのは詐欺ECサイトにとってリスクが大きいのだ。 一方、ヤフオクやメルカリは商品を個人で出品し、写真やテキストも個人が記載している。また一点ものなので、バレにくい。そのため、詐欺ECサイトに無断で情報がアップされていることがバレにくく、そもそもヤフオクやメルカリに出品した個人が詐欺ECサイトに訴えを起こすインセンティブがあまりないので、クレームになりにくいのだ。 さらに注目すべきは、詐欺ECサイトの商品ラインナップだ。たとえば、こちらの詐欺ECサイトを見ると、Amazonや楽天で売り切れになっている商品がピンポイントに出品されているように見える。そして、値段は定価の10~60%引きとなっている。 筆者が本稿を執筆時、公式サイトで売り切れになっている「ドラゴンボール キャディバッグ」は、詐欺ECサイトで定価の半額程度で売られていた(現在は削除済み)。

「問い合わせ先を探してもわからない」からこそ…

さらに注目したいのが、そのサイト名だ。こうした詐欺ECサイトの特徴として、サイト名が「ECサイトとは思えない凡庸な名前」になっている。これにも明白な理由がある。かつて、マルチ商法の被害があったとして問題にされた企業として「事業家集団環境」「チーム」のような検索してもほかの情報に紛れる名前が挙げられていた。 一口でいって、これらの企業は確信犯的にそのECストア名にしていると思われる。被害にあっても、その企業の情報がネット検索で見つかりづらく、問い合わせ先を探してもわからない。よって被害者仲間も見つかりづらいのだ。 これと同様なことが詐欺ECサイトでは行われている。検索しても出ないようなネーミングにしている、いわば「まぶしSEO」である。
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消費者が「騙されるメカニズム」は?
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EC・D2Cコンサルタント、Amazon研究家、株式会社GROOVE CEO。慶應義塾大学環境情報学部卒業後、新卒採用第1期生としてアマゾンジャパン合同会社に入社、出品サービス事業部にて2年間のトップセールス、同社大阪支社の立ち上げを経験。マーケティングマネージャーとしてAmazonスポンサープロダクト広告の立ち上げを経験。株式会社GROOVEおよび Amazon D2Cメーカーの株式会社AINEXTを創業。立ち上げ6年で2社合計年商50億円を達成。Youtubeチャンネル「たなけんのEC大学」を運営。紀州漆器(山家漆器店)など地方の伝統工芸の再生や、老舗刃物メーカー(貝印)のEC進出支援にも積極的に取り組む。幼少期からの鉄道好きの延長で月10日以上は日本全国を旅している

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