お金

「安すぎる」「銀行振込のみ」は疑うべき…ネット通販詐欺に騙される人の特徴

消費者が「騙されるメカニズム」は?

ここで、消費者心理として騙されるメカニズムをひとつの例を出して解説しよう。6歳の娘を持つ父親が、来週に迫った娘の誕生日プレゼントとして、サプライズであるおもちゃを購入したくなったとしよう。父親はまず、Amazonや楽天など有名なECサイトで商品を検索する。 すると、どこも売り切れ……。次に父親はこう考えるだろう。 「ほかにこの商品が売られているサイトははないのか…」 そこで父親は商品名をGoogleで検索する。すると、検索結果の上位ではないがあるECサイトに商品在庫があることを発見する。 「やった!ようやく見つかった……」

「正常な判断ができない状態」こそ狙われる

さらに、父親にとって嬉しい誤算が見つかる。その商品は、定価よりも4割程度安い価格、そして手が届きやすい6,000〜8,000円程度で売られていたのだ。売り切れで購入が間に合わないと思った商品が見つかり、さらに価格も安い。 これなら娘の誕生日に間に合う、よかった……。その安堵感と、さらにはうかうかしていると売り切れになってしまうという焦燥感から、迷いなくカートに入れ、「購入」ボタンを押す。 そして、そのECサイトが銀行振込のみであることに違和感を持たずに、そのまま届くはずのない商品代を振り込んでしまう……。あくまで一例だが、騙されてしまった人にとっては自分の経験を追われているような気分になったのではないだろうか。 「売り切れの商品がほしい」という渇望、そして商品価格が安いという強烈な魅力。これによって、疑うことなくお金を振り込んでしまう消費者心理を完全に狙っているのである。
次のページ
Amazonや楽天で売り切れの商品は「世の中に流通していない」
1
2
3
4
EC・D2Cコンサルタント、Amazon研究家、株式会社GROOVE CEO。慶應義塾大学環境情報学部卒業後、新卒採用第1期生としてアマゾンジャパン合同会社に入社、出品サービス事業部にて2年間のトップセールス、同社大阪支社の立ち上げを経験。マーケティングマネージャーとしてAmazonスポンサープロダクト広告の立ち上げを経験。株式会社GROOVEおよび Amazon D2Cメーカーの株式会社AINEXTを創業。立ち上げ6年で2社合計年商50億円を達成。Youtubeチャンネル「たなけんのEC大学」を運営。紀州漆器(山家漆器店)など地方の伝統工芸の再生や、老舗刃物メーカー(貝印)のEC進出支援にも積極的に取り組む。幼少期からの鉄道好きの延長で月10日以上は日本全国を旅している

記事一覧へ
おすすめ記事
ハッシュタグ