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小6で体重は30kg未満。“猟奇的な母の暴力”で狂った男の人生「心の根っこを洗脳されて」

なぜ弟ばかりが贔屓されるのか

 小川氏には、「弟」がいる。 「私に比べて出来の悪いはずの弟は、いつも母から贔屓されていました。家事分担も圧倒的に私のほうが重く、ミスして怒られるのはいつも私でした。『勉強だって、お兄ちゃんなんかすぐに抜かせるんだからね!』と、母はいつも私を踏み台にして弟を励ましていました」  不可解な兄弟間格差の理由について、小川氏は成人後に知ることになる。 「どうも不倫相手との子どもだったようですね。しかも、父もそれを知っていて、離婚までは家族でいたようです」  

「血の繋がりのない弟」の親権をほしがった父

 小川氏が小学校中学年から高学年にかけて、両親は離婚に関する協議を重ね、離婚調停にもつれ込んだ。結果として親権は母親が勝ち取ったが、その裁判でさえ、父親の「コミュニケーションの一環」だったのではないかと小川氏は振り返る。 「先ほども述べたように、母は人たらしでした。父親は当時から『弟』が血の繋がりがないことを知っていて、あえて私と弟2人を引き取るために裁判を起こしています。  これは私の推測ですが、父はどんな形でもいいから母親とか関わっていたかったのではないでしょうか。あるいは、母が可愛がっていた『弟』――つまり彼女の宝物を奪取したいという歪な愛情があったようにも思えます」 「弟」は中学卒業後、職を転々とし、現在は住所不定の無職。小川氏の父親にはたまに金の無心に来るらしく、その際に父親は母親の近況を聞くなどしているという。小川氏の推測はあながち間違ってはいないかもしれない。
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女性に対して「トラウマを植え付けられた」出来事
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ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki

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