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小6で体重は30kg未満。“猟奇的な母の暴力”で狂った男の人生「心の根っこを洗脳されて」

女性に対して「トラウマを植え付けられた」出来事

 そもそも小川氏の母親に惹かれた男性は多い。冒頭のトラウマは、その際に植え付けられたものだ。 「離婚調停の期間中、母は私たちを連れて実家に帰っていました。その実家には弁護士が泊まりに来ることが何度もあって、私たちと母と弁護士で同じ部屋に寝ていました。  10歳くらいのときだった思いますが、夜中に目が醒めてしまいました。すると母の喘ぎ声が聞こえてきたのです。性の知識はほとんどありませんでしたが、何が起きているのか大体予想はつきました。鼓動が速くなり、全身が硬直するのがわかりました。小学生ながら『気づいたことがバレたら殺されるかも』と本気で思いました。  それ以来、情事の際に女性が出す声を聞くと、あの光景を思い出してしまうのです。そうした母の姿を見ているので、本当は『弟』と血が繋がっていないことを知ったときも、驚きより納得が先にありました

母親に反抗する発想は毛頭なかった

 弁護士はある領域において非常に著名で、メディア露出もしている人物だが、家庭の悩みを小川氏の母親に打ち明けていたという。いわく、「病気の妻がいる」らしく、弁護士は彼女と別れた暁には小川氏の母親と住もうと考えていたようだ。  だが正式に離婚が成立した瞬間、小川氏の母親は弁護士を捨てた。 「離婚後の母は、『これで法的にも自由』とばかりに、別の男と付き合っては別れてを繰り返していました。あんなに『一緒になろう』と母に将来を語っていた弁護士も、あっさり用済みになるとは思っていなかったのではないでしょうか」  裁判では親権者を母親にすることが認められたが、14歳になると小川氏は父親と住むことになる。異常な痩せ方をしていることや身体にできたアザが担任教師の目に止まり、小川氏は児童相談所に一時保護されたのだ。  母親と離れることによって、これまで恐怖に支配されていた自分を客観的に見ることができたと話す。 「普通、思春期も真っ只中の中学生男子ならば、肉体的には母親よりも強いはずです。しかし、心の根っこの部分を洗脳されているので、母親に反抗をするなどという発想は毛頭ありません。この息苦しい環境に自分を適合させることでしか、生きる術がなかったからです」
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「20年近く母と連絡を取っていない」理由
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ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki

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